WBC決勝・10回表 なぜ韓国はイチローを敬遠しなかったのか

連日のWBCネタ。

いやぁ、日本勝ちましたねぇ!
期待されながら結果を残す。選手、監督選考、色々ゴタゴタした中で連覇を達成する。本当にすばらしい!!

そして、調子が出なかった中で最後の最後で決勝打を放ったイチロー。
スーパースターとはこのことを言うんだろう。本当にすごい。

今日ばかりは選手の皆さんは美酒に酔っていただきたい。

しかし、しかし… 水をさすわけでは決してないのだけど…

試合を見ていなかったため、スポーツナビの「テキスト速報」での確認になってしまうが、決勝打を放った時のイチローの打席を振り返ってみたい。

まず、打席に立った時点では、二死一・三塁。
2球目に岩村が盗塁を決め、二死二・三塁となる。この時点でカウントは1・1。

私は野球の専門家でも何でもないが、セオリーどおりに行けばここはどう考えても敬遠じゃないんだろうか。

同点で延長。一塁が空いている状況で、バッターは今日3安打している、あの「イチロー」だ。

明らかに投手力で上回る日本に対し、この状況で1点も大量得点も同じようなもの。
確かに次の中島も怖いが、どう考えても、外野に抜けない限りアウトにできる、満塁策が定石だったのではないだろうか。

少なくとも真っ向勝負ではなく、ボールになっても構わないきわどいコースで攻めるべきだったはずだ。あれだけ粘られてもいるのだから。
事実、この後まったく同じ状況で打順が回ってきたこの日1安打の青木に対しては、迷うことなく敬遠を選んでいる。

韓国にしてみれば、このイチローとの対戦が命取りになった。
日米通算3,000本近いヒットを放ち、メジャーリーグで数々の記録を塗り替え、現在世界最高と言われるバッターに勝負を挑んだばかりに。

ここからは私の勝手な妄想だが、韓国国民にとって「イチローを敬遠する」という行為は、とても許されないことだったのではないだろうか。

イチローが韓国を挑発し続けてきたことは有名だ。それは巧妙な心理作戦だと私は思うけど。
それに対し、韓国は過剰なまでに反応してきた。現地でも、韓国応援団のイチローへのブーイングはすさまじかったという。

これもひどい妄想なのだが、先日の順位決定戦は、韓国はある意味で手を抜いたんじゃないかと思っている。
それまで1つしかなかったエラーが、その試合だけで確か3、4つあった。

エラーした選手もヘラヘラ笑っているし、監督の采配も「絶対に勝つ」という気持ちは見られなかった(それは日本も同じだったけど)。
わざと負けたとは言わないが、準決勝ではアメリカよりベネズエラがいい、と考えていなかったことはないと思う。

そしてまんまとベネズエラに打ち勝ち決勝に進んだのを見たとき、私は韓国の狡猾さを見たような気がした。
「嫌日の韓国が日本に負けて悔しくないはずがない」という人がいるが、私は韓国チームもそんなにバカではないと思う。

順位決定戦での負けは甘んじて受けても、決勝で勝利し優勝することこそが、国民も納得する本当の勝利だと分かっていたはずだ。

しかし、それでもイチローを敬遠することはできなかった。
最後の最後で、変なプライドというか、憎しみというか、妙なものが邪魔して、愚かにも敗北してしまったのではないだろうか。
もし逆だったら、韓国にイチローがいたら、日本人は皆「そこは敬遠だろ!」と怒っていたのではないか。

もしかしたら、選手や監督は敬遠したかったのかもしれないな。
でも、帰って何言われるか分からないからやれなかったのかな…

このあたりは、野球通の知り合いや、夜のニュースの解説や、ヤフー知恵袋で釣り質問でもして聞いてみることにしよう。

WBCの敗戦を、アメリカメディアはどう伝えているか

WBC盛り上がってますねぇ。

確かにサッカーに比べたら参加国も少ないものの、研ぎ澄まされた一流選手たちの「ガチンコ」試合を見るのは、やはり楽しいものです。

そして今日は遂に、Baseballの母国アメリカにも勝ってしまいました。
日本のマスコミが浮き足立つのは当然として、果たしてアメリカのマスコミは、今回のことをどのように報道しているのでしょうか。

とりあえず、アメリカ三大ネットワークのスポーツニュースを見てみました。
 ※2009年3月23日 PM6~7:00(日本時間)近辺の情報を元にしています。

すると、ABCは何とWBC関連のニュースがナシ!(あったのは、一次リーグでオランダがドミニカを破ったというニュースのみ…)

「盛り上がっているのは日本人と韓国人だけ」と揶揄されているWBCですが、本当にそうだったのか。。

不安を抱えながら、CBSのニュースを見てみると、少し記事がありました。

要約すると、
努力しない選手と、決断力のない指揮官が率いるアメリカチームが、すべての点ではるかに優れていた日本に負けた。アメリカは、もうこの大会で勝つことはないだろう。次の機会には、マイナーリーグの選手を出すべきだ。少なくとも、彼らの方が少しは努力するだろうから
という、何とも悲観的なものでした。結構言い訳三昧なのかと思いきや、完敗を認めています。

そして、最も詳細な記事を載せていたのがCNN

試合の局面ごとに、戦術的なかなり細かい指摘(左バッターが多かった日本チームに対し、アメリカの先発オズワルドが打ち込まれたにもかかわらず、ブルペンでは誰も投球練習をしていなかった等など…)もあるのですが、とりあえず全体的な論調として、

・アメリカチームが試合を支配した時間帯は一度もなかった
・選手だけではなく、監督・コーチもひどかった。やる気が感じられなかった。
・このチームに、本当に1億6,000万ドルの価値があるのか。日本チームの年俸より下げなくてはいけないのではないか。
・アメリカは車に続き、野球までアジアにもっていかれた。

という感じで、かなり辛らつな内容になっていました。

準決勝の前日に、来期からの契約条項にチャリティ活動を入れていいかどうか、で選手側とオーナー側でなにやらもめていたんだそうで、そういった不調和も敗因の一つとして挙げられています。

まぁとりあえず向こうも認めていることだし、今日の勝利は単純に喜んで良いんじゃないでしょうか。そして、明日の韓国戦にも勝って、是非V2を果たしてもらいたいものですね。

Webコミュニティを「普通の人」につかわせるのは、ムリなのかもしれない

Web上のサービスについて考えたときに、ターゲット層をどこにするかは当然考えることだ。
今や日本のネット普及率も(モバイルを入れれば)8割ほどで、ほとんどの人が何かしらの形で利用しているといえる。

しかしそれが、こと「コミュニティサービス」である場合、いわゆる「普通の人」に使わせるのは至難の業のように、今更ながら思えてきた。

私自身、一日中PCとWebに接することが多い。それは仕事のせいもあるし、単にWebが好きだからだ。
しかし、同時にWebをあまり活用しない友人との交流も欠かさないようにしている。
周り中みんながWeb漬けの環境にいると、ごく一般的な人のネットに対する態度、利用頻度、何を求めていて何を利用しているのかなどの感覚が麻痺してくるからだ。

ここからはあくまで私自身の体感だが、例えば、モバイルでしかWebを利用しない人でも、クックパッドは便利だから使うと言うし、ゴルフの予約のために楽天GORAはいつも利用する人もいる。
検索はもう完全に市民権を得ていて、その便利さも感じているようだ。

しかし、コミュニティサービスの代表格mixiでさえ、使わない人が何と多いことか。
昔からの知り合いなどは、今は知らなくともそのうち使いだすだろうな、と思って数年様子を見ていたのだが、一向に利用する気配もない。誘われてアカウントは作ってみたけど、一度もログインしていないという人もいる。この間、町を歩いていたら「俺、mixiもってねぇし」という会話すら聞こえた(これはまた意味が違うけど…)。

「面白さが分からないから」「使ってみればきっとハマる」
今まではきっとそうだろうと思っていたが、最近では、おそらく彼らはこの先もつかうことはないのだろうと思うようになった。

そういった人たちにはある共通点がある。

それは非常に単純で、Web以外の、要するにリアル世界で人と接することが多いということだ。

例えば営業の仕事をしていて、毎晩取引先の人と飲み歩く人。友だちの多い地元で働き、電話一本すればすぐに数人の仲間を集められる人。行きつけのクラブ(踊るほう)があって、行けば必ず一人は知人がいるような人。

そういった人たちは、まぁまずWebのコミュニティサービスを使わない。それはなぜか。

・リアル世界で忙しく、時間が取れない。
・人間のコミュニケーションを求める気持ちの最大容量というものは決まっていて、精神的に充足されるとそれ以上は望まない。
・そもそも身近にたくさんの人がいるのだから、友だちの近況を知る必要がない。
・自分の近況を伝え、それに対する反応を欲しがらない。

さまざまな理由を挙げてみたが、どれも結局は「Webコミュニティが必要なほどコミュニケーションが不足していない」「友だちとのコミュニケーションにWebが媒介する必要がない」ということではなかろうか。

そして、
・Webに頼るほどさびしくない(実生活以上のコミュニケーションは面倒)
というのが、実は究極なのではないかと思えてきた。

コミュニティサービスを使う人は、友だちの近況を知りたいという欲求もあるが、おそらくほとんどの人が、自分が書いた日記やコメントに対してのリアクションを求める。
日記にコメントがつかないことで凹み、1日に何度もあしあとを確認する。

それは、他人に見て欲しい、自分の存在を他者にしらしめたいという、誰もが持つ潜在的な欲求である。
しかし、実はそれはWeb以前はすごく難しいことでもあって、クラスで人気者になるためには、即興で面白いことが言えたり、芸ができたり、知らない人とすぐに仲良くなれたりする「強固な対人コミュニケーション能力」が必要であった。少なくとも、学級新聞を書かせたら最高に面白くても、いざ話してみると恥ずかしがって何も言わないやつは人気者ではなかった。

しかし、Webの登場によってあらゆることが便利になり、今まで「頭の中では面白いことを考えていたのに、それをみんなの前で言えなかった人たち」がそれを表現することが可能になった。
mixiやtwitter、2chにどっぷりとハマる人は、今まで不可能だったそのような欲求の充足をWeb上に見出し、依存するのではないだろうか。

だからこそ、そういった欲求が既に満たされている、決して少なくないボリュームの人たちにとって「Web上のコミュニティサービス」は、そもそも必要のない、-mixiやtwitterにハマるような人にとっては、何よりも大事なものであっても- もしくは生活の中で優先順位の低いカテゴリなのではないだろうか。

SNSなどがはじめて登場したころ、「交流が薄くなってしまう知人ともずっとつながっていられる。これはWeb上でしか実現できない、今までにないすばらしいサービスだ!」と感激したものだった。

「誰でもみな、Webコミュニティサービスの便利さを知り、生活や人生のインフラになる」
そう思っていたころもあったが、もう根本的に、自分たちの生活には「不要」な人たちが大勢いるんじゃないかと、弱気になってる昨今です。

読みやすい文章を書くちょっとしたコツ

仕事で文章を扱うことが多いのだが、文章には、やはり読みやすいものとそうでないものがある。

もちろん、構成力や表現力が大きく関わってくるので一概には言えないが「文章を読みやすくする」テクニックというのはあると思う。そしてそれは、気をつけさえすればすぐにできる。

※文法の正式な知識はほとんどなく、すべて自己流です。

1:なくても意味が通じる言葉は極力なくす、または代用

とりあえず、これに尽きると思う。

文章を書くうちについつい陥りがちなのが、話し言葉で書くこと。
推定、形容などは別として、「なくても意味が変わらないな」と思ったらなるべく削除する。

「ような、ように」

    黙って従うようなことはしない。
    黙って従うことはしない。

※削除しない方がいいケース(意味が変わってしまう)

    異次元からきたような物体
    異次元からきた物体

「なの」

    そういう訳なのだが
    そういう訳だが

「のだが(のだとetc…)」

    信じているのだが
    信じているが

「だろう」

    そうだろうと思う。
    そうだと思う。

「という、ということ」

    その理由というのは
    その理由は

「けれど、けど」

    ではないけれど、
    ではないが、

実際につなげてみると…

黙って従うようなことはしない。とにかく、そういう訳なのだ。
私はそう信じているのだが、彼もそうだろうと思う。
その理由というのは…

黙って従うことはしない。とにかく、そういう訳だ。
私はそう信じているが、彼もそうだと思う。
その理由は…

ほ~ら、少し読みやすくなった… かな…?

2:ひらがなを多用

漢字を適度にひらがなに置き換えるだけで、文章はやわらかみを増し、読みやすくなる。
論文などは別として、ブログの記事などでは有効な手法だと思われる。

どんな言葉をひらがなにするかは迷うところだが、私が気をつけているのは
「時(とき)」「事(こと)」「出来る(できる)」「等(など)」「物(もの)」「所(ところ)」など、比較的よく使う言葉が多い。
文章中で統一できていれば、例えばブログ全記事で統一する必要はないと思う。

    あの時、そんな事が。
    あの時、そんなことが。
    あのとき、そんなことが。

3:同じ語尾を連続で使わない

これはそのままで、語尾が同じだと読んだとき違和感があるので、言い回しを意図的に変える。

    事前にこれを見ていただきますと、スムーズに取り組んでいただけます。
    事前にこれを見ていただきますと、スムーズに取り組めます。

4:句読点と改行を活用

句読点のつけどころは人によって実はすごく差があるが、私は小学校で習ったとおり「読んだときに息つぎするところ」および「ブロック単位で独立している文章」を意識している。
また、普通なら必要な場合でも「」の前後にはあまりつけないようにしている。「」自体が文章を区切る目的を果たしているからだ。

難しいのは改行で、これはブログやメールだけの話になるが、以下の3パターンがあると思う。

a:段落ごとにいれるもの
もっともオーソドックスなもの。段落と段落の間に改行を入れるかどうかは、必ず入れる人と、違う話題になったことを意図的に明示するために入れる人がいる。

「アルファブロガー2008」というところから引っ張ってきた例文をつけてみた。
 小沢一郎氏の初当選からの言動を振り返る・その一

b:レイアウトのために入れるもの
文章の途中でも、レイアウトを重視するためにあえて改行を入れるもの。
 大野事件の終焉:無罪確定

ビジュアル的に読みやすくなる効果があるものの、あまり入れすぎるとケータイ小説みたいになるので要注意。
また、ブラウザやメーラーによってフォントの幅も異なり、意図しないところに改行が入ってしまわないよう注意するのが結構大変。

失敗例:

    あたし、べつに大学なんかいきたくない
    し、
    ていうか、お前が決めんなよ、みたいな。

c:「オチ」のために使うもの
古くは「僕秩」のヨシナガさんから、「鬼嫁日記」まで、話のオチを引っ張るために、意図的に改行を多く入れる場合がある。
ただしこれは文章がうまいことが前提で、普通の人がたいしたオチもないのに多用すると結構ツライ。

失敗例:

    だから、声を大にして僕は言いたい!

    何も分かってない世の女どもよ!

    たまには僕にかまってよ^^;

特に「1」は、事実を述べたり意見を表明する文章に向いており、普通の日記や友だち同士の文章はもっと表現力旺盛な方がいいと思う。
また、当ブログで「ですます調」ではなく「である調」を使っているのもなるべく文章を短くするためなのだが、やはり威圧的という印象も与えてしまう。

初めからこれを意識して書く必要はなく、何も気にせずに一度文章を完成させてから、推敲時に添削するのが効果的だと思う。

今の金融危機が10分でわかる動画

タイトルの通り、主にサブプライムローンを軸にして、どうして今の金融危機が起きたのかを非常に分かりやすく説明している動画を発見した。
The Crisis of Credit Visualized

これを日本語訳すれば、小学校高学年でも理解できると思う。

あまりによかったので、初めて「Donate」ボタンを押そうかと思った。
まぁ押してないんだけども。


The Crisis of Credit Visualized from Jonathan Jarvis on Vimeo.

一応、以下に内容を訳してみたけれど、イラストもかなり素敵で見るだけでも何となく分かるし、全編英語だがかなり平易であるので、抵抗のない人は是非見ていただきたい。

原文を意識して、それこそ小学生でも分かるように訳したつもりですが、かなり意訳も入っており、かつ聞き取り違いなどあるかもしれませんが、ご了承ください。


    「金融危機」を説明するために、この物語の登場人物を紹介しよう。

    まずは投資家。そして、家を持っている普通の人たち。
    それから「モーゲージ」という言葉も出てくるよ。これはあとで説明しよう。

    投資家はたくさんのお金を持っていて、そのお金を利用しようと色んな組織が生まれるんだ。
    銀行や投資銀行、保険会社なんかだね。それらが集まって、いわゆる「ウォールストリート」ってやつが作られる。

    数年前、投資家たちは、たくさんある自分たちのお金をもっとふやすためにどうしたらいいか考えていたんだ。

    今までなら、安全なアメリカの国債を買っていたのだけれど、9.11という事件があって経済を強くするために、アメリカのお金の番人「連邦準備局(FRS)」というところの偉い人、グリーンスパンさんが、国債の利率を1%にするって決めたんだ。

    多くの投資家たちは「そんな低い利率じゃ結構だ」ってそっぽを向いてしまった。
    でもこれって、銀行の人たちから見たら「たった1%の金利でお金が借りられる!」ってことだよね。だからみんなFRSに殺到したんだ。

    銀行はどんどんリッチになった。おかげで、普通の人も銀行から簡単にお金を借りられるようになったんだ。
    しかしそのせいで、みんなが「レバレッジ」という悪魔に狂ってしまうことになるんだよ。

    「レバレッジ」を説明しよう。
    例えば、10,000ドルで買ったものを11,000ドルで売ることができたら、1,000ドル儲けられるよね。これこそ、まともな商売ってやつだ。

    でも「レバレッジ」を使うと、10,000ドルを銀行に持っていくだけで、99万ドルも借りることができるんだ。
    そうすれば、同じ10,000ドルのものを今度は100個買うことができる。それを売れば110万ドルだね。
    さっき借りた99万ドルを銀行に返しても、ほら、10万ドル儲けることができた。すごいだろ!そりゃみんなおかしくなっちゃうよね。

    この「レバレッジ」という錬金術をつかいまくって、ウォールストリートの人たちは信じられないほどの大金持ちになっていった。

    それを見ていた投資家たちは気分がよくない。だって自分たちが儲けられないんだもの。

    そこで、ウォールストリートの人たちは考えた。
    「モーゲージ」というものをつかって、投資家と家を買いたい人を結びつければいいんじゃないかって。
    モーゲージというのは、家を買いたい人が、その家そのものを担保にしてお金を借りることなんだ。借りた分は、毎月少しずつ返していくよ。

    その方法は、こうだ。
    まず、家が欲しい家族がいる。彼らは頭金を持って、モーゲージの申し込みをするよ。

    無事取引が成立すれば、家族は家を買うことができる。もちろん、毎月の返済はしなきゃならないけど、家の値段はどんどん上がっていくんだから、困ったら売ってしまえばいい、ってその頃はみんな考えていたんだ。

    ウォールストリートの人たちは「モーゲージを商品にして投資家に買わせよう」と考えたんだ。国債より金利がいいしね。

    実際、投資家たちはこれで大もうけした。あまりに儲けられるものだから、みんな「レバレッジ」をつかって、借金してまでたくさんのモーゲージ商品を買ったんだ。

    こうして、買えば買うほど儲かる魔法の箱が出来上がり!ってわけだ。

    さらに投資銀行は、この箱にもっとすごい魔法をかけてしまった。
    ひとつの箱を「安全」「大丈夫」「あぶない」という3つに分けたんだ。そしてそれを「CDO」と名づけたよ。

    CDOを理解するには、トレイが少しずつずれた状態で並んでいるところに、水が流れる姿を想像してくれると分かりやすい。
    モーゲージから入ってきたお金(=水)は、まず「安全」に行く。それが満たされたら「大丈夫」に、最後に「あぶない」に行くんだ。
    もしモーゲージの支払いが滞った場合は、まず最初に「あぶない」の箱にお金が入らないことになる。

    だから投資銀行は「安全」は低い金利で他の銀行などに、「あぶない」は一番高い金利でヘッジファンドなどに売ることにしたんだ。
    「あぶない」を買った人は、多くの金利をもらえる。でもその代わり、お金が入ってこない可能性もあるってわけ。

    こうして、投資銀行はまたまたたっぷり儲けた。

    家族は家を買え、投資家は儲かる、そして担当者は仕事がたくさんもらえる。こんなにハッピーなことある?
    ウォールストリートの人はそう言ったよ。確かにここまではその通りだよね。

    でも、いつかは終わりが来る。当然だよね。家が欲しい人が無限にいるわけじゃないんだから。

    絶体絶命のピンチかと思われたんだけど、投資銀行たちは、そこでまた新しい方法を考え付いたのさ。

    モーゲージを払えなくなった家族の家を買い取って、もっと使いやすいモーゲージを作った。
    それは、頭金なし、収入証明書もなし、とにかく誰でもいいからお金を借りて家を建てられるというものだよ。すごいね!

    そして彼らは、今までのモーゲージを「プライム」というのに対して、これらを「サブプライム(プライムより下)ということにした。

    そして、これが正にターニングポイントだったというわけさ…

    サブプライムも最初はうまくいっていた。プライムと同じようにね。
    でも、やっぱり払えなくなる人が出てくる。そういう人たちは、実は家を買えるような収入がなかったんだ。ムリヤリ売りつけていたんだね。

    払えなくなる人たちが増えてくるにつれ、当然たくさんの家が手放され、余るようになった。
    今まで順調に上がっていた家の値段も遂にストップし、それどころかどんどん下がり始めたんだ。

    もちろん、モーゲージをまじめに払っていた家族たちの家も値段が下がっていったよ。
    彼らは「もうこの家は9万ドルの価値しかない。なのに、なぜ30万ドルものモーゲージを払わなきゃならないんだ?」ってバカバカしくなってしまった。だからみんな放棄してしまったんだ。

    困ったのは投資銀行さ。誰もお金を払わなくなって、ただ安い家だけが残った。こんなの持ってたって、買う人がいなけりゃ役に立たないものね。

    彼らはとんでもない爆弾を抱え込むことになってしまったんだよ。

    投資銀行は、それでもまだモーゲージを売ろうとした。でも、もうみんな知っていたんだ。それはとんでもないシロモノだってね。

    モーゲージを買うためにレバレッジをたくさんかけていた、要するに借金をしていた投資銀行や銀行は、もうお金を返すこともできなくなった。

    誰もお金を貸さなくなり、借りなくなり、価値のない安い家だけがたくさん残った。今までモーゲージの仕事をしていた人たちも、どんどん職を失っていったよ。
    今まで積み上げてきた金融システムは、遂に麻痺してしまったんだ。

    そして…

    遂に爆弾が爆発してしまった。
    ウォールストリートの投資銀行や銀行はどんどん破綻してしまったんだ。

    それが今の状態。「ようこそ、金融危機へ」ってわけさ。