『THIS IS IT』を観賞した。
映像の中のMJは予想以上にエネルギッシュで、もちろんリハーサルだから適度に力を抜いているのだけど、その抜き方が普段観られない彼の裏側を観られるようで楽しくもあった。
研ぎ澄まされた刃のようにプロフェッショナルで、それでいて非常に謙虚で、本当に稀代のスーパースターだった。
だからこそ、彼の存在の大きさを感じれば感じるほど、もうこの姿が見られないということがさびしくてならない。
亡くなったときこそまったく実感が沸かなかったが、見れば見るほど悲しくなる映像でもあった。
当初は2週間限定だったものの、多くの映画館で延長が決まったらしい。
まだ観ていない方は是非映画館に足を運んでいただきたい。
そしてこの『THIS IS IT』は、周りでも非常に評判が高い。「マイケル・ジャクソンはやっぱりすごい」という感想ばかりを聞く。
しかしもし、手加減なしのフルパワーのMJを観たいのなら、今すぐ「ライブ・イン・ブカレスト」を観るべきだ。
これは、マイケル・ジャクソン唯一の公式ライブDVDである。
1992年。マイケルは30代前半で、あの忌まわしい「濡れ衣」を着せられる直前の、もっとも脂が乗っている頃の映像だ。
序盤、舞台の下から飛び出してくるマイケル。
その後数分、あの『HISTORY』のジャケットの姿勢のままピクリとも動かない。
それでも熱狂するオーディエンス。鳴り止まない歓声。
ゆっくりとサングラスを外した直後、激しいビートと共に始まる「JAM」。
違法アップロードを貼るのは本意ではないが、これがそのDVDの冒頭部分だ。
この後も神がかり的なダンスと歌が続き、おなじみの「Thriller」や「BAD」ではまるでミュージカルさながらの演出が続く。
本当に、生命力にあふれたマイケル・ジャクソンがここにいる。
曲目は『THIS IS IT』とほぼ同じ。
要するに、『THIS IS IT』で行われたリハーサルの本番が、このライブ・イン・ブカレストだと思えばいいと思う。
本気のマイケル・ジャクソンを観たいなら、THIS IS ITの熱が冷めやらないうちに是非観てほしい。