先日、ソフトバンクの孫さんがTwitter上でRTした発言。
https://twitter.com/whatwashappened/status/9181337894
最初、「これって、チェーンメールでは…… 孫さんやっちゃったかな」と思ったのだが(リンク先に新聞記事があるので、ガセネタではないらしい)、よく考えてみるとTwitterのRT自体がチェーンメール(チェーンつぶやき?)的要素がある。
Twitterの登場で、その概念自体も変わってくるのかもしれない、と思い今一度考えてみた。
まずRTとは、Twitter上で気に入った発言を、他の人に見せるために行う行為で「ReTweet」の略である。当初はユーザの中から自然発生的にはじまったものだが、今では公式にサポートされるようになった。
そして、チェーンメールとは何か。
Wikipediaやこちらのサイトによると、人それぞれ解釈はあるものの、自ら「知人に転送して」という情報は、すべてチェーンメールとなる。
たしかにTwitterのRTに近い。
数日前、こんなことも起こった。
「恋人捜して」 ツイッターの捜索願で騒動 警察は困惑
ここに出てくる登場人物たちは、みな善人だ。全員が行方不明の彼を心配し、行動を起こした。
実際、富士の樹海(!)で見つかったそうで、本当に深刻な状況だったのだろう。
しかし結果的には、警察の通常業務をさまたげてしまうという迷惑行為に発展してしまった。
そしてこれこそが、チェーンメールの弊害である。
「あえて言うなら、誰が一番悪いでしょう?」
となったら、直接の原因を作った「電話をかけた人」になるかもしれない。
しかし、必死で知人を探そうとした当人やTwitterにRTを投げた人に影響されたとも言える。
この程度でパンクする警察の電話回線、という意見もひょっとしたらあるかもしれない。
「Twitterでつぶやくのと、実際に電話するのでは大違い」という意見もあろうが、どんなにネットが一般的になろうとも、猪突猛進で突き進んじゃう人は絶対いるし、この問答を散々突き詰めて、強制力はないもののルール化したのが、RFCの「ネチケット」だったはずだ。
私は、ソーシャルメディアが新しい「メディア」のひとつになる日が来ると思う。まだ相当遠いけど。
そして、その形態は日々進化している。
例えば、1:1だったメールに比べ、1:数十万にもなりうるTwitterではその分散効果はまさにねずみ算式だ。それこそがTwitterのもつ力でもある。
しかし裏を返せば、何も考えず気軽にRTすればするほど、その情報の信頼性・有用性は薄れていき、Twitter、ひいてはソーシャルメディア全体がただの「ウサン臭いもの」に成り下がる。
この孫さんのRTにより、チェーンつぶやきはある程度市民権を得るだろう。「何で悪いの?」という人がたくさん出てくると思う。それもそうだ。インターネットのプロ中のプロがやっているんだから。
しかしソーシャルメディアの力を高めるのであれば、やはり使う人たちの「自分たちは既にメディアの発信側になっている」という自覚が必要だと思う。Twitterの力を信じるならなおさらだ。
結論:15年前のネチケットは、やっぱ正しいんじゃね?
「○○ちゃんが病気で苦しんでます!RTしてください!」
「Twitterで救える命がある!RTをお願いします!」
このようなネタを新聞に載せようとしたら、記者はまず、その真偽を確かめるために取材をするだろう。
それができない我々一般人はどうすべきか。
インターネットは誰もが接触可能な空間だ。そこに情報を吐き出すというのはどういう行為かを、今一度見直す方がよさそうに思える。
ちなみに、私はリンク先の少女とは知り合いではないので寄付はしませんが、もちろんこの活動自体を否定するものではありません。
> この程度でパンクする警察の電話回線
電話交換のシステムを知らない人はこんなこというだろうね。
※ 「赤と黒」様がそれに当てはまるかどうかは存じません。
通信事業者の電話回線、この場合はNTT西日本でしょうか、
電話局から当該警察署までの局線は数回線でしょう。多分、10は超えない。今回の事件で想定できる最大同時通話数で回線を用意するなんてことは効率悪いので。
うんなこと、加入者の負担だけでなく、通信事業者の設備負担でも「出来ないこと」だから。
まあ、一般の人は回線交換の理論なんて知らないし、ダイヤルしたら100%つながると期待してますからね。
>空弁者さん
コメントいただきありがとうございます。
分かりにくくてすみません。。
ご指摘の通り、それは例えです。
そもそも「この程度」と言いつつ、どの程度電話があったのか分からないので…
通信の仕組みについて詳しく教えて下さり、ありがとうございます。
そのような弊害が生まれることからも、やはり無為にチェーンメールを流すのは考えものなのでしょうね。