以前の『iPS細胞』に続き、人体系に興味を持ってしまったので読んだもの。
ただ、順番的にはこちらが先のほうがよかったか。
本書自体は2007年5月に刊行されており、上述のiPS細胞が発見されるちょうど半年前だった。
そのため、DNAの発見・解明からES細胞の登場に至るまでのことが書かれている。
筆者は、実際にアメリカの研究所に長く勤めていたベテラン教授で、そういった人ならではの裏話や生物学に関する洞察が面白い。
特に、研究者がその功をあせる姿は、何というか一般の会社員の出世競争と変わらない、人間臭さがあるのだと感じた。
ただ、前半部分は逸話などがふんだんに盛り込まれていたものの、やはりページが進むにつれて内容がかなり難解に、かつ事実の羅列になってくるので、教科書を読んでいるような感覚になりちょっと辛いかも。
また、細かな描写もほとんど絵や写真を用いずに文章だけで表現しているため、素人にはなかなか想像できない部分があった。
そういった意味では、この手の分野に多少でも興味がなくては、読み進めるのはなかなか厳しいかもしれない。
しかし、Amazonで「DNA 和書」で最も売れている作品だけあり、読み応えは十分。
特に、これから「生物学」「分子生物学」を学びたいと考える学生に読んでもらいたい内容だった。