夏の終わりは、なんだか物悲しい。こんなに厳しい季節も他にないというのに。
なぜそう思うのか、ちょっと考えた。
日が長くなり、外に出たくなるからか、夏は活動的になる。
あれもしたいこれもしたい。ここにもあそこにも行きたい。今年こそあれを始めたい。あわよくば、恋愛だってしてみたい。
やりたいことが山のように出てくる。
しかし、いざ終わろうとする頃、やれなかったことがポロポロ出てくる。
まだスイカも食べてないし、海にも行っていない。欲しかったTシャツも買えてないし、結局、今年の夏は何もなかったな…
日が暮れるのが早くなり、蝉の代わりに鈴虫が鳴き始めて、夏の終わりが近いことを感じる。
でも、いつもそうなのかもしれない。
やったこと、嬉しかったことは自分にとって事実だから、当然で、忘れがちで、やれなかったことばかりが大量にあって、それが理想化されてしまう。本当は、やれないことの方が多いのに。
慢心する必要はないけど、たまには後ろを振り返って、自分がしてきたことを確認するのも必要なのかもしれない。
もう、夏の終わりだ。
そう思うと、刺すような日差しも、むせるような暑さも、もう少し正面から向き合ってやろうという気がしてくる。