韓国のオンラインコミュニティの歴史 その1

English follows after Japanese…

友人に韓国人が何人かいるのだが、彼らの母国のネット(特にゲームやコミュニティ)事情は大変興味深い。
日本では叩かれることも多いが、ある意味日本より進んでいることも事実で、学ぶべきものも結構多いと思う。この機会にエントリにしてみよう。

■SayClub cyworldから始まったアバターコミュニティ

SayClubは1997年、cyworldは1999年から始まった、共に韓国国民の半数(約2,200万人)が登録しているといわれるコミュニティサイト。
Friendsterが2002年、MySpaceが2003年、そしてmixiが2004年だから、その早さが分かる。

「アバター」を中心にコミュニティを形成、2002年に日本でサービスを開始する「カフェスタ」のモデルともなった。
日本のYahoo!アバターも韓国に技術協力を依頼したりしたそうだし、エキサイトのアバターの仕組みを監修したのも韓国の企業だ。

面白いのは、アバターを使わない日本人と同じように、当時の韓国でも

「アバターなんて、こんなもの誰が使うんだ」

という意見が大半だったそう。しかし、ふたを開けてみると大成功。
売り上げは急速に伸び、2002年には月間約12億ウォン(約1億2千万円)まで至る。
この「アイテムに課金する」という発想は、今後の韓国コミュニティサイトの流れを決定付けるものとなった。

ちなみにこの「アバター文化」を日本で唯一大きく成功させたのが、Hangameだろう(まぁ元々韓国だが)。Yahoo!アバターや、近年ではGREEが同じくアバターで売り上げを伸ばしているが、Hangameと比べると霞む。
Hangameの2007年度の売り上げが約90億円で、かなりの部分がアバターだといわれる。

SayClub、cyworldは共に日本版もリリースされたが、前者は去年の11月にサービスの提供を打ち切った。

■「ミニホムピィ」の時代へ

「ミニホムピィ」は韓国のコミュニティサイトを語る上で欠かせないキーワードである。
例を見てもらうと分かりやすいと思うが、アルバムのようにデザインされたページは、日記、写真、掲示板、あしあとなどの機能を有する。日本人と違い開放的な彼らは、プライベートな写真でも何でもここに載せた。

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中でも特徴的なのは「自分の部屋」だ。これはweb上の分身であるアバターが住む部屋であり、友だちを招くことも可能。家具や調度品など、部屋の飾りつけもアバターと同じようにカスタマイズできる。

何のことはない、アバターで飽和状態になったアイテム数を飛躍的に伸ばすために「部屋」を作ったのだ。

しかしこれがまた大当たり。今でも韓国コミュニティサイトの中心的位置を占めている。

■オンラインゲーム

韓国オンライン事情を語る際に外すことができないのが「オンラインゲーム」だ。
前述のHangame、NAVER、Neowiz、Nexonなど数々のゲームポータルが生まれ、同時にそれまでアメリカの独壇場だったMMORPGも次々に開発。ラグナロクオンライン、リネージュ、MapleStoryなどは日本でも成功した。

韓国人のオンラインゲーム好きは相当なもので、どんなに逆立ちしても日本市場がこの熱に追いつくことはないと思う。

そして、良くも悪くも韓国人は「マネがうまい」。
他のゲームのよいところを取り入れる、要するにパクリの技術(?)だ。

例えば「ボンバーマン」を明らかにパクった「BnB(ビーアンドビー)」という作品がある。
当然、日本のハドソンは著作権侵害として運営元のNexonを提訴したものの、あえなく敗訴。

しかも、結局尻つぼみに終わってしまった日本のボンバーマン・オンライン版に比べて、そのBnBの方が韓国ではるかに高い収益を上げ続けていた。
どちらにオンラインゲームのノウハウがあるのかは一目瞭然だった。
遂には、両社はライセンス契約で合意するに至ったのだ。

すごいのは、ボンバーマンは爆弾を使うのに対し、BnBは「水風船」を使う。
これは敵チームを閉じ込めたりでき、仲間はそれを助けたりする。オンライン用にゲーム性をプラスし、より「面白い」ゲームとなっているのだった。
当然、数々のアイテムは現金で販売されている。これが韓国オンラインビジネスの巧みなところだろう。

思ったより長くなってしまったので、次回に続きます。。
次回は、
「アイテム課金の現状」
「韓国人のネットへの依存性」
「日本との比較」
などについて書きたい。

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I have few Korean friends and I heard about web (in particular a game and web-community) circumstances sometime.
Some Japnese are ctiticise Korean-online, but thinks that there are quite many things which should learn that I advance from a certain meaning Japan in a fact. I will make an entry about that.

‘SayClub’ and ‘cyworld’

The community site where it is said to when the half of the nation registers (about 22,000,000) it at Korea where cyworld began in 1999 and SayClub began in 1997 as for avatar community.

Friendster began in 2002, and MySpace began in 2003, Mixi – is the biggest SNS in Japan- began in 2004. You are easy to understand how early them.

They formed community mainly on “avatar” and became the model of “Cafesta” -is one of the polular community service in Japan-
Yahoo! Japan Avatars seems to have asked Korea for technical cooperation, and it is a Korean company to have supervised the structure of the avatar of the “Excite Avatar”.

It was then Korea in the same way as the Japanese “who did use the avatar?”. However, they got a big success.
And became it that this idea “charged to a sale item” determined the flow of the Korea-community of the future.

The sales reach it till they make a profit of monthly about 1,200,000,000 won (about 120,000,000 yen) rapidly in growth, 2002.
By the way, it will be Hangame that let this “avatar culture” succeed greatly alone in Japan; (but originally this is Korea, too).
About 9,000,000,000 yen sales of 2007 of Hangame (But GREE -is Japanese famous SNS- extends sales with an avatar in the same way now).

As for SayClub, cyworld, the Japanese version was released together, too, but the former broke off an offer of the service in November of the last year.

To the times of “MiniHomepy”

“MiniHomepy” is the keyword which is indispensable when I tell Korean community site. That words means “one’s pafe”.
I think that it is easy to understand that I have you read an example, but the page formed like an album has the functions such as a diary, a photograph, a bulletin board, the footprint. It was a private photograph at all, they have been upload their photos with here.
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It is “one’s room” to be above all characteristic. This is the room where the avatar which is the other self in web lives in and can invite a friend. You can customize the decoration of the room such as furniture or other things in the same way as an avatar, too.

Nothing to say, this is new business for them.

However, this is big sale again. It still occupy the centrality of the Korea community.

An online game

It is “an online game” that I cannot take it off when I tell Korea online circumstances.
Many game-portal-site such as above-mentioned Hangame, NAVER, Neowiz, Nexon is born and develop the original MMORPG in sequence at the same time. Ragnarock online, Lineage, MapleStory succeeded in Japan.

I think that a Japanese market does not need to catch up with this heat even if no matter how much the Korean online game enthusiast stands on hand with a considerable thing.

And, one way or the other, a Korean “is good at imitation” 🙂

For example, there is a work called “BnB” which clipped “BomberMan” clearly.
Japanese company Hudson who had a copyright of Bomberman, loses the case tragically although against Nexon of the origin of administration as a copyright infringement.

In comparison with the Japanese Bomberman-online which had finished being anticlimactic after all, the BnB continued giving much higher profit, besides, in Korea.
It was clear at a glance which there was the know-how of the online game in. Both companies came to agree by licensing agreement at last.

As for what is terrible, Bomberman uses just a “bomb” , for BnB “a water balloon” using in game.
This can shut in an enemy team-member, and the friend helps it. This feature added game characteristics for online and became a more “interesting” game.
The many items are sold in cash. It will be the place where the Korea online business is skillful in this.

I follow on the next time than I thought because I became long…

「サヤ取り(裁定取引)」について

「貯蓄から投資へ」というスローガンが誰にでもあてはまるとは思わないし、むしろほとんどの人は投資に一生手を出さないだろう。
ただ個人的には、日本の金融機関がこれから100年安泰だとも思えないし、少なくとも年金制度は遅かれ早かれ実質崩壊する可能性が高いと危惧している。
それに、自分で汗水流して稼いだお金なのだから、政府や役人に依存するのではなく「自分のお金くらい自分で守る、ふやす」という意識をもつことが大事だと思う。

ということで僕は投資を行うのだが、自分がこれまでに身につけてきた知識などを、折を見て(備忘録代わりにも)記していきたいと思う。
何かのきっかけで見てくれた方のお役にたてれば幸いです。

今日のテーマは「サヤ取り(裁定取引)」。
機関投資家は広く行っている手法なのだが、一般にはまだまだなじみが薄い。数ある投資手法の中でも「比較的安全」といわれるこの手法を、簡単にご紹介したい。

まず、下の図をご覧いただきたい。
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赤の線が東証一部、青の線は大証一部に上場している、トヨタ自動車の3か月の株価の動きである。
当然、二つの線は同じような動きをしている。

しかしある一点に注目すると、その連動がわずかに乱れるタイミングがある。
たとえば、11月下旬と思われるこの部分。
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ここでは、赤と青の線がおおきく離れている。
この離れている状態のことを「サヤが開いている」という。サヤ取りとは、このサヤが開いた状態を見極めて投資を行うことを指す。

分かりやすいように、このとき赤が10,000円、青が5,000円だったとする(もちろん、同じ銘柄でそんなに株価が離れることはありえない)。
このときを「サヤが開いていてチャンスだ」と判断したら、
「赤を売り」「青を買い」
注文する。

そしてこの後、二つの線は再び近づいて(収斂して)いる。この時を「サヤが閉じた」と判断したら、
「赤を買い戻し」「青を売る」
で決済する。

このときの株価を見てみると、二つとも下降しているものの、
赤:7,500円 青:4,500円
くらいになっているとする(あくまで大体)。

二つの取引結果を見ると、
赤:10,000円売り → 7,500円買い = +2,500円
青:5,000円買い → 4,500円売り = -500円

である。確かに青の取引は損を出しているが、合計すると2,000円のプラスとなる。これが「サヤ取り」と呼ばれる手法の基本である。

基本的に
・連動性、収斂性のある銘柄の反対取引を行う
・決済はかならず同時に行う

ということを守り、その他細かい複合技(買い増しなど)を行っていくのだ。

前述のとおり「比較的安全」として、株式のみならず、先物やFXなどの為替でも用いられる手法であるが、「安全」といわれるゆえんとして「株価の上下に左右されない」という特徴がある。

上記の例で赤が大幅に暴落したとしても、青も(連動性があることが前提であるため)当然下がることが予想される。
たとえば赤が10,000円から3,000円になったとしても、青が5,000円から2,000円になっていれば、差額が1,000円分あるため、損はしていない。
差(サヤ)さえあれば、損は出さないというわけだ。

通常の株式の取引は、ある特定の銘柄を買って「上がった下がった」で判断するが、これはリスクをヘッジしている取引というわけだ。

ただ、もちろん損をすることもあるし、あくまで「比較的安全」といわれるだけで、ぜんぜん安全ではない。
収斂すると思っていた株価が思うようにいかなかったり、最悪逆の方向に動けば、損失は倍になるため非常に危険だ。

Googleで「サヤ取り」「サヤ取りとは」などで検索すると、かなり怪しいものも上位に来たりする(今日現在)。
「ラクに稼げる!」とか、「副収入で年収1,000万円!!」などの広告をGoogleAdsenseでよく見るが、実態はこの「サヤ取り」の方法を説明しているだけのものもあるようだ。

サヤ取りを行うためには、関連性のある銘柄を見つけることが必要(特にプロは、例に出したような「同銘柄異市場」はやらないともいう)だし、収斂するタイミングを見極めるため、最低一日に一度は市場を見なくてはならない。そしてそのタイミングはたいてい中々訪れないので「待つ」ことが非常に大事で、根気がいる。
それが苦にならない人はやればいいと思うし、それでも基本的に「預金するよりはまし」程度の収益でよし、くらいの気持ちでやるべきだと思う。
やはり収益を上げようと思ったら、投資といえど、それなりの努力や経験が必要なのである。

とりあえず「こんなものもあるんだなぁ」くらいに頭の片隅に置いていただき、決して悪徳業者に騙されないようにしてください。

※この記事を見て行った取引のいかなる事態に関しても責任は負いかねます。投資は自己責任でお願いします。

[読書]スタバではグランデを買え! 吉本佳生

以前の「金融広告を読め」がよかったので、同じ著者つながりで読んだもの。
とはいえこの本、2007年に発売され、かなりのベストセラーになっている。恥ずかしながら今さら読んだということだ。

結論からすると、さすが吉本佳生といったところ。
スタバ(スターバックス)だけではなく、さまざまな「モノの値段」を具体例に出し、経済学を織り交ぜながら分かりやすく説明している。

例えば、なぜ携帯電話の料金体系は複雑なのか、100円ショップはどのように利益を出しているのか、など。経済学の論理だけではなく、現場の裏側までよく取材されているな、と感じた。

もちろん、本のタイトルに対する答えも明示している。これはひとことで表現できるほど(文中で著者が説明しているため)簡単なのだが、言ってしまうのはもちろん本意ではないため、興味のある方はぜひ読んでもらいたい。
経済学を知りぬき、日々研究し続けている人が書いただけあり、非常に分かりやすく明瞭だ。

ただ逆に、経済学をある程度、少なくとも大学で経済・経営学を学んでいる(そして、それをちゃんと覚えている)程度の人からすると、ちょっと物足りないレベルだろう。そういった人は、1~6章までは斜め読みでいいかもしれない。

個人的にも、おもしろかったのは7、8章だ。

「真の経済格差は、月給などの所得格差ではなく、資産格差である」
「ムダな公共事業は早めに見切りをつけ、その分有益なことに税金を使え」
「少子化問題に対し、小児医療を無料にするのは逆効果だ」

など、思わず「なるほど」とうなずきたくなる持論が展開される。特に「資産格差」の話は、もちろん日々まじめに働き続けることも大事だが、少し合理的に考えて行動する、言い換えれば、要領よく立ち回ることの大切さを再認識させるのではないだろうか。

とはいえ、100%著者の意見を受け止める必要もない。
少子化の問題にしても、確かにただ無料にするだけでは著者の指摘する問題が起こるだろうが、それでも無料という響きはやはり心理的効果も大きいだろうから、やり方次第なのだろうと思う。

総評としては、経済学に少しでも興味がある人、または本のタイトルを見てちょっとでも「おもしろそう」と思ったのなら、読んで損はないだろう。



派遣労働と、それに対して個人個人が取るべきスタンスについて

いつか考えをまとめたいと思って後回しになっていたのだが、年末年始少し時間ができたこともあり、俗にいう「派遣労働」の問題について考えてみたい。

この問題は複雑だ。ゆえに、明確な解決案はでない。「誰が悪い」というのも決められない。ただ、その複雑さゆえに、我々は問題の本質から「目を背けさせられている」のではないか。

これには、経営者と派遣労働者だけではなく、正規雇用といわれる労働者、政府、ほとんどすべての国民がかかわっている。
なので、単純に「企業が派遣をクビにするのはひどい」なんてことは言えなくて、我々はそれぞれ、自分たちの立場と意見を明確に持っておく必要がある。

まず「派遣」と「正社員」のメリットだけを非常に簡単に対にすると、
手厚い保護が受けられ、企業が存続し続け、自分が望みさえすればほぼ終身雇用が可能

人間関係などのしがらみに捉われることなく、手に職をつければ自由にさまざまな場所で労働を行い、報酬を受け取ることが可能

といったところだろうか。まるで賃貸と分譲みたいになってきたが。
とにかくそんな感じで、今まではそれぞれのライフスタイルに合わせ、なんとなくうまく回っていたようにも思えた。

しかし、事態が急転したのはやはり、小泉・竹中の両名が「構造改革」を掲げて経団連と仲良く手を組み、派遣労働者を製造業にも従事できるよう法律を改正してからだ。
これによって派遣労働者は急増した。ちなみに、派遣労働者の労災は9倍にもなったそうだ。

ただそれによって、日本企業が力を取り戻したのも事実だった。
グラフを見ていただければ分かるが、企業の現金保有を示す内部留保は年々上がり、正社員と平均賃金は反比例して下がっている。
グッドウィルやフルキャストなどといった、古くから存在した人材派遣会社も急激に業績を伸ばした。
金融危機なんかが起きなければ、日本経済はこのまま、ゆるいながらも成長を続けるはずだった。

では、やはり「企業はお金をいっぱい持っているくせに、派遣を切っている。おまけに正社員の賃金まで下げている。ふざけんな!」となるだろうか。
少なくとも僕はNoだと思う。

最初に言ったように、この問題はあらゆる立場から考えなくてはならない。
そこで経営者の立場で考えてみると、彼らはあくまで法律にのっとった方法でこのバブル後の苦難を乗り越えてきたわけであって、その法律を制定したのが当時国民に熱狂的に支持されていた首相であったことも考えると、国民が選択した結果と言えるからだ。
だから「企業が悪いんだ説」を唱える人は、「企業も儲かって、正社員の賃金も上がって、派遣も解雇されない」代替案を提示しなければならない。

構造改革をする。それで日本の景気は良くなる。「痛み」は伴うかもしれないけれど。

確かに良くなった。国民は喜んだ。でも、政治家も経営者も分かっていた。誰かがそのツケを払わなければいけないと。
それが、派遣労働者だった。

前述のようなメリットがあった派遣も、今となってはただの「安く使いまわせる工数穴埋めの数字」と化し、その数も全労働者の1/3近くにまでなった。
ここに「働き続ける労働者層」と「それを管理する層」という、明確で前時代的な階層社会ができ(かけ)てしまったのだ。

ここで、一番ワリを食っている(と考えられる)「正社員として安定した雇用が欲しかったが、どうしても派遣にしか職がなかった」人を満たすにはどうしたらいいかを考えよう。

日本の正社員は、特にアメリカなどと比べると過剰なほど保護されている。最近はリストラも他人事ではなくなってきたとはいえ、基本的に一度雇用したらよほどのことでもない限り解雇されない。大幅な減給や降格も珍しい。まだまだ、企業は自分や家族を守ってくれる存在であると考えている人は多い。

そしてここが大きな問題なのだが、そんな人たちの数割が、自分の生産性と比べて明らかに過多な報酬をもらっている。
もちろんすべての仕事がお金に換算できるわけではないが、年功序列、定時昇給の仕組みが「ただ長く会社にいただけ」の人がそれなりに給料をもらい続けられる構造を作ってしまった。
そして当然、彼らはその既得権にしがみつく。彼らは言う。「今まで頑張ってきたじゃないですか」と。派遣社員の未来より、自分の過去を見てくれと。

派遣労働者は、そういった人たちに搾取されているということもできる。
彼らの雇用の安定のために身を粉にし、日給9,000円で自動車工場で汗を流しているのかもしれないのだ。

ここでひとつの案として
「正社員でもクビにしやすくする。現在の派遣も正社員も同じスタートラインで、真の実力主義社会を目指す(=それで落ちこぼれたやつは仕方なし)」というのが出てくる。
ちなみにこれは、竹中平蔵の現在の考え方だ。

そして、それと対になる考え方として
「今のまま。派遣だろうが契約だろうが、運がない人はそうやって底辺で働いていればよし」というのがあるのではないだろうか。

以前、堀江貴文氏が山崎元氏の主張である「ベーシックインカム」についてブログで言及していたが、これも考え方の一つだろう。個人的には、実質生活保護と変わらなくなるのではないかと思うが。

まとめると、
「誰もが幸せになれる、超ミラクルな方法を考えつくこと」
「全員が同等の、もっと激しい競争社会を目指す」
「今のままでいいじゃんよぉ」

となった。

僕はまだどれが正しいと主張できない。それだけの知識と確信が伴っていない。
ただ、派遣労働者であるかどうかを問わず、現状に不満や不安を持っているとしたら、ではどうすればいいのか、自分のスタンスとしてもっておくべきだ。その上で考えたり発言するべきだと思う。

個人的な意見になるが、戦後の日本を強烈に立て直したのは、大正から昭和初期に生まれた人たちだ。
しかしその次の世代の人たちは、もちろん意図していたなんて思わないが、結果的にそれを食いつぶし、莫大な借金を残し、次代の若者たちにとんでもない負の遺産を残してしまった。この遺産は、それはそれは本当にとんでもないよ。
僕は、100年後の日本は機能しなくなっているんじゃないか、もしかしたらなくなってるんじゃないかとたまに本気で怖くなることがある。

そして現在派遣労働者として働いている、特に若い人たちに言いたいのは、前述のような狡猾な大人たちに目を眩まされている可能性があることを認識すべきだということ。
変えたいと思うなら、何らかのアクションを起こさなければダメだ。誰かが考えてくれるなんて甘い。人間、楽な境遇にいると、何かを変えたいなんてこれっぽっちも思わないことを忘れてはいけない。

たとえばそういった主張をする政治家を見つけ出して応援をするとか、実際に投票をするとか。
ただ、僕も見つけてみようと思ったのだがなかなかいない。それはそうだ。全体の2/3である多数派を敵に回しては選挙に勝てない。
でも、それでも問題意識をもち続けることだ。そうしないと、また政治家やマスコミに目を眩まされ、企業の小手先の対応に満足する、ということを繰り返してしまうから。

そして誰も「企業は派遣を雇ってやれよ」なんて気楽に言ってはならない。それでは社会は絶対に良くならない。

ずいぶん長いエントリーになってしまった。。
もし最後までお読みいただいた方がいらっしゃれば、ありがとうございました。この問題は難しいので、またいつか書くかもしれません。

IT企業が電話応対しないワケ

ちょっと釣りっぽいタイトルだが、

電話も通じぬIT企業、増える「窓口はメールのみ」

って感じの、明らかに対ネットむき出しのミスリード狙いの記事があったので、IT企業(ここではポータルなどサービス提供体)が電話応対をしない理由を書いてみたい。
個人的には、場合によっては電話応対をするべきだと思う。ただし「やっぱりできない」理由が一応あるのだ。

■コストの問題

これは単純。一日中張り付かなければならない電話と自由なときに返信できるメールでは、対応に必要なコストがまったく異なる。
前者は専門の要員が必要だが、後者であれば他の仕事をしている人が兼任で行うことも可能だ。

■テンプレの有効利用

「○○の操作が分からない」など、クレームの90%は前例がある。それを都度話して聞かせるより、テンプレをコピペして返すほうが圧倒的に速い。
また、PCなどを使う関係でURLを提示するにはメールのほうが便利である。

■著作権の問題

ネットでありがちなのが、作品の盗用などの著作権に関するトラブル。
その際「これは私のだ」という人が必ず現れるのだが、実際にその人かどうか確認するすべがない。これは電話口でどんなに話しても解決する問題ではなく、時間の無駄なのだ。

■詐欺などの犯罪に関して

某オークションなどで、中々後を絶たない(まぁ完全になくなるわけはないけど)詐欺。確かに、これは金銭にかかわる重大な問題だ。
しかし、たとえばフリーマーケットで「本物だ」と思って買ったものがニセモノだったとき、どうするだろうか。
イベントを運営した市役所にクレームを言って聞き入れてくれるだろうか。

ヤフーなどは正にこの論理だ。自分たちはあくまで「場を貸しているだけ」だから責任は取れない。
最近、ようやく詐欺に対して本腰を入れて取り組むようになったものの、一時は本当に「自己責任」の一点張りだった。だまされたほとんどの人は、泣き寝入りするか、動くこともない警察に届けるしかなかった。

■コミュニティの運営

mixiのような企業でもっとも多いクレームは、間違いなく個人間のトラブルだろう。「あの人はこんなにひどいことをした。すぐに退会させろ」
しかしこれは、どっちが悪いかなど第三者が判断するのは非常に難しく、明らかな違反行為以外は介入する余地がない。
それを電話口で延々言われても、「個人間で解決してください」というしか答えようがないのだ。これも明らかなタイムロスになる。

他にもまだあるけど、大体はそんなところだろうと思う。
そして、これらにはある共通した問題がある。ネット上の本人確認性の難しさだ。

ある商品を購入した消費者が販売元に問い合わせをする。この場合、実際に買っていない人がすることはまずないだろうから、本人かどうか確認する必要はない。企業にとっては大事な顧客である。
しかし、詐欺にあったから何とかしてくれとか、オレのものを勝手に使うなとかは、本人かどうか分からないとどうしようもない。
本当にそいつが詐欺をしたのか。本当に頼んだものが届いていないのか。本当に別の誰かがIDをのっとって出品や落札をしたのか。それを調べるのにはそれ相応の時間が、どうしてもかかってしまう。

もう一度言うけど、僕は電話対応自体を否定しているわけではないし、コミュニティ運営会社であるにもかかわらず、電話対応に莫大な投資をしたディー・エヌ・エーはたいしたものだと思う。しかし、やはり前述のように電話をしたところでなんとも解決しない問題が多いのだ。

よくも悪くも、この定義はYahoo! JAPANが作ったものだと思う。他の企業はそれに追随した。
完全な無応対から菓子折りを持って自宅に向かうまで、顧客対応にはさまざまな段階があるけれど、どこかで線引きをしなくてはならない。その「線」が今のところメール対応なのだろう。

ただこの傾向は、時代の流れとともに当然変わっていくのだろうという気はしている。