はてながプロモーションに積極的だ。
従来「ネットオタク」やエッジの技術者に愛好されてきたはてなが、どうやらこれを読む限りでは、これからはマスを取りに行くようだ。
そんで、それはきっと成功しないだろうと思う。
街を歩く人に声をかけ、同社のサイトを見せながらこんなふうに聞いて回った。そして愕然(がくぜん)としたという。
「誰もはてなを知らないんですよ。かろうじて人力検索を知っている人がいるくらい。街でたまたまはてなユーザーに会う、なんてことはあり得ない」
近藤社長がどこを歩いて聞きまわったのか知らないが、本気で世間の人がはてなを知っているとでも思ったのだろうか。だとしたら、ちょっとあまりにもあんまりで心配になる。世間を知らなすぎるんじゃなかろうか。
技術者はおおむね、技術「だけ」に長けていれば、生活できる糧を得ることはできる。しかしビジネスマンであれば、しかも一企業の経営者であるならば、自分の会社が世間でどういったポジションでどんな印象をもたれているのか、敏感に察知することが不可欠だ。
その上で、近藤社長は世間の人が「はてな」を知っていてよく利用していると思っていたのなら、実際は相当胡散臭がられているのに「オレって人気者」と勘違いしている人を見てるみたいで、こっちの方が若干赤面してしまう。
はてなを「技術力が高く、先進的なサービスを次々に繰り出す技術者の集団」と思っているのは、ITやWebの世界でもごくごく一部で、多くの人は「検索すると中身のないページ(はてなキーワード)が出てくるサイト」程度しか認識がない。業界人でもまったく知らない人も少なくないよ。
それを、一般の人に聞いて知らなくて愕然、とは… 本当に驚いた。
個人的には、はてなはコミュニティという意味でmixiに、特異性という意味でYahooブログみたいになっていくんじゃないかと思う。
特定の趣向を持った人たち(はてなでは、Web系の技術屋さんやそっち系が好きな人たち)が集まり、主にはてなダイアリーを通じて独自の空間を作り始めている。何でも、ユーザ同士での恋愛もあるそうだ。
それを同じはてなユーザが「ブコメ」と言われるブックマークのコメントでやいのやいの、時には罵り、時には囃したてて騒いでいる。
彼らは独自の距離感を保ちつつ、馴れ合っている。それは傍から見ると非常に奇妙な光景にも映る。
きっとこういう人がこれからも集まってきて、それ以外の人は静かに離れていくだろう。
それでいいんじゃないか。そういう人たちをここまで、少なくとも事業体として活動できる程度まで集めたのなら、なぜ今からマスを取りに行くのだろう。
事業を拡大したいのか。それにしては、IPOをするつもりはないそうだ(非公開で拡大するのかもしれないけど)。
一度ついたお客さんの質を変えるのは大変だ。はてはが今のお客さんを捨て、もっとライトでWebを生活の中心としていない人を取りに行くのなら、それはいばらの道となる。
技術は蓄積されていくものだと思うし、一流の技術者には凡人には超えられない壁があるのも分かる気がするけど、最近は特に技術者同士の力量の格差は少なくなっているんじゃないかと思う。そのうちはてなクラスの会社がどんどん現れて、はてながマスを求めている間に今のお客さんがどんどん流れていって、しまいにはにっちもさっちもいかなくなる可能性も十分ある。
Googleにあこがれていた。やっぱりなぁという気がした。
しかし、アメリカで「Wiiすげーーー」ってなってるのを見て、任天堂みたいになりたいと思った。
Googleは、高学歴なエンジニアを集めた国際的な米国企業。日本の企業がまねできるかというと、おそらく難しいだろう。だが任天堂は、日本の京都でものづくりをし、世界を熱狂させている。
確かにGoogleほどの天才ばかりが集まる企業ではないかもしれないが、任天堂の入社試験が相当な難関であることや、ゴールドマン・サックスより社員の生産効率が高いことをまさか知らないわけではあるまい。
Googleは無理。でも任天堂くらいなら…と思ったのだろうか(それでも、協業するところまでこぎつけたのは評価できると思う)。
明らかに迷走してないか。ここ数ヶ月~1年の近藤社長の言動を見ると、少なくとも社員は相当引っ掻き回されているのだろうなぁと想像がつく。
京都駅が好きだ。京都駅のようなサービスを、京都のはてなから、発信したいと思っている。
もう、わけが分からないんだが。