當山奈央がやはりとてつもないヴォーカリストだった件

Addy」というインディーズユニットに、當山奈央というヴォーカリストがいる。私は個人的に彼女の大ファンである。

初めて聞いたのは、彼女たちがまだ「COLOR」というアイドルグループであった頃、デビュー曲である『DOUBLE OR NOTHING』があるドラマのテーマ曲であったことから、CDを譲ってもらい聞いたのがきっかけだった。

歌って踊れる4人組の女の子という点では、当時流行していた「SPEED」の二番煎じであることは明らかだったが、確かに歌はうまいなぁとおぼろげに感じていた。
特に抑えられた低音の声は当時としては珍しく、のちにまだ中学生だったと知ったときは、その割にはすごい歌唱力だなと驚いたものだ。

それ以降10年以上もの間、彼女たちの存在や活動は知らなかったのだが、ふとしたきっかけで『鯨』という曲を見かけ、その歌声にすっかり魅了されてしまった。




そこから彼女たちの歴史を調べてみると、COLORはやはりブレイクと言えるには至らず、追加メンバーを加え「Buzy」と改名したものの、アルバム一枚のみであえなく解散。
同時期には「BEE-HIVE」というアイドルグループにもいたそうだが、そこには今や大人気の「Perfume」もいて、残念ながらセールス面でははっきりと明暗が別れる結果となってしまった。

その後メンバーはバラバラになり、當山奈央はヴォーカリストとして「Addy」に参加。私はそのファーストアルバムを楽しみにしていたのだが、発表された『Futures
』は、正直期待していた出来ではなかった。
彼女の持ち味である、伸びやかで声量のある、粘り気のある声がまったく活かされておらず、ただ高いトーンでがなり立てているように(あくまで私には)感じてしまったからだ。

もうあの當山奈央は復活しないかな……と半ば諦めかけてもいたが、先日発売されたセカンドアルバム『ZIG-ZAG
』でその懸念が一気に払拭された。
彼女のパワフルな歌声は終わるどころか更に進化しており、声だけで圧倒されるようなレベルにまで達していた。
特に3曲目の『Afterglow』は快作であるように思う。

彼女にかぎらず、実力のあるミュージシャンは国内にも大勢いる。しかしその実力とセールスの反比例が一向に修正されないのが日本の音楽業界だと思う。

ただでさえ音楽市場が寂れてしまっている昨今、このような稀有な才能がいることを是非知っていただきたく、記事にしてみました。
音楽の好みは人それぞれなのは承知の上ですが、少しでもご興味があればぜひ聞いてみてください。

福島のハゲた青年

今年を振り返ると、やはり3.11のことは外せないだろう。

私には福島に近しい親戚がいる。

幼いころは毎年のように訪れ、年の離れた男の子と一緒に遊んだ。
やれ一緒に遊べ、勉強を教えろと一日中くっついてくる彼が弟のようにかわいかったし、それは今でも変わらない。
色白で、おっとりして誰にでも優しかった彼は、しかし成人してからの数年を自衛隊で過ごし、とても頑健な青年に成長した。

避難区域内ではないものの、原発からそれほど遠くないところに住む彼らは、今もそこで生活をしている。そして福島の現状は、やはり以前とは比較できないほど厳しい。

一度だけ、ちょうど毎日のように福島の話題であふれていた頃訪ねたが、昔はにぎわっていた温泉街もめっきり静まり返り(それでもお客さんはいたが)、応対してくれた仲居さんはこちらが恐縮するほど丁寧にもてなしてくれた。

彼に会ったら尋ねてみたいことがあった。ここを出る気はないのかと。
しかし話を聞くにつれ、彼がどんなにこの土地を愛しているかを知り、ただ「ここを何とかしたい」という気持ちで前を向いているのかを全身で感じ、とてもそんなことは言い出せなかった。

いつ放射能が降りかかるかも分からない土地など一刻も早く立ち去るべきだという考えがある。幼い子供を住ませるのはエゴだという人までいる。
それはそれで正しいと思う。

しかし、幼い頃からその土地で過ごし、友人や家族もたくさんいて、金銭や年齢など現実問題としてそこで生活するしかない人が大勢いる。
たとえそれが「諦め」という感情だったとしても、彼らの選んだ生き方を否定できるわけない。

彼は(本人にとって)残念なことに、頭頂部の毛根のほとんどが死滅した、いわゆるハゲである。実際には数年前からなのだが、「これで放射能のせいだと言い訳できる」といって笑った。強い男に成長したなぁ。

国枝慎吾を知らない日本人

突然だが、日本にこんなスポーツ選手がいるのをご存知だろうか。

    ・世界メジャー シングルス24勝、ダブルス17勝(歴代最多記録)
    ・全豪オープン5連覇
    ・全仏オープン4連覇
    ・全米オープン4連覇
    ・ジャパンオープン6連覇
    ・パラリンピック金メダル2個、銅メダル1個
    ・1年でキャリア・グランドスラムを達成
    ・連勝記録108(2年以上負けなし)


この恐るべきテニス選手こそ、車いすテニス最強の男国枝慎吾である。

これだけの記録を打ち立てた選手は、他にそういない。それこそイチローくらいなものだ。
私は、冗談抜きで日本でテニスが最も強いのは彼だと思っている。

しかし、我々日本人はあまりにも彼を知らなすぎる。
障害者だから? 車椅子だから?

いやいや、彼のテニスは本当にすごい。面白い。

海外での彼の知名度は抜群だ。
障害者スポーツがより身近にあるからということもあるだろうが、それにしたってもっと国内で報道すべき人なのではないかと思う。

4大大会最多優勝記録を持ち「史上最高のテニスプレーヤー」とも呼ばれるあのロジャー・フェデラーが「日本男子テニスはどうやったら強くなるか?」という質問に、訝しがるように「日本にはクニエダがいるじゃないか」といったのは有名な話

彼はまた「トップの座を守るのはどれだけ大変か」と問われた際、「それは僕とクニエダにしか分からないよ」と答えたこともある。

そしてフェデラーは「グランドスラムは自分よりもクニエダの方が先だろう」と予言し、実際にそうなった。

キャリア・グランドスラムとは4大大会をすべて優勝することを指すが、長いテニスの歴史上達成した男子選手はたった6人。しかも一生をかけて目指す目標を、国枝は1年で完結させた。まさに化物だ。

特に彼のバックハンド(手を返す打ち方)は「すべての選手の中で最高レベル」と讃えられ、「フェデラーのフォア、国枝のバック」と表現されることもある。そのくらいすごい選手なのだ。

これだけの選手は、この先50年は現れないだろう。
テニスそのものがメジャースポーツとは言えない日本だが、彼の凄さを是非目の当たりにして欲しいと願う。

国枝慎吾オフィシャルブログ

全知全能のトップを求めるのはもうやめよう

菅首相が辞任し、野田新体制が発足することになった。
すぐに支持率の調査が行われ、ある程度の期待が集まることだろう。

しかし野田さんが神のような名宰相でない限り、その支持率はすぐに右肩下がりになるだろうと思う。

大震災で弱体化した今の日本には、解決すべき問題が山ほどある。
復興のためには増税もしなければならないだろうし、例えば労働人口の減少を補うためには移民だって受け入れる必要があるかもしれない。

でも多くの人、そしてマスコミはそれに対して条件反射的に「増税反対」「売国政権」と叫ぶことだろう。

そしてこれも毎度のことだが、政権が交代する頃にようやく、まるで惜別の念を送るかのように「ボロクソに言われてたけど、まぁこれだけのことをした人だったよね」という肯定的な評価が入る。
http://jp.wsj.com/Japan/node_295384

どうして毎度毎度こうなるのか考えてみた。
自分なりの結論は、根底に「トップが変わるとすべてが好転する」という「幻想」があるのではというものだった。

この5年で6人もの首相が現れては消えた。

日本では、国民が直接トップを選べない。
自分たちが選んだ人(≠政党)であれば、多少嫌な部分があっても我慢するのだろう。例えばアメリカなら、4年は絶対に変わらない。嫌で嫌でしょうがないことがあっても、すぐには変わりようがないのだから、じゃあ良い方向に持って行くには自分たちに何が出来るのか、という方向に思考が転換するのだろう。

日本ではそれができないから、皆堪え性がなくなり、次から次へトップをすげ替えることで事態が好転すると思っている、またはそう思いたいのではないだろうか。

「お前なんてダメだ、次々!」
トップを次々に変えられるこの状況って、ひょっとして麻薬のような中毒性があるのかも。。

麻生太郎という首相がいた。
カップラーメンの値段や漢字の読み方という、国を動かすという職種にとって本当にどうでもいい瑣末なことで糾弾された首相だった。彼が行ったこと、菅総理と同じように辞任を迫られながらもギリギリまで戦ったその成果は、今となっては評価する向きのほうが多い。

トップが変われば何か劇的なことが起こるんじゃないか、救世主のようなリーダーが現れて日本を変えてくれるのではないか。
そんなことはもう幻想だと割りきって、今自分たちに何が出来るのかを考えるべきではないかな。

保護主義に走り過ぎると、日本文化が衰退する

韓流ブームとそれに対する抗議活動に関して何か書くのが流行っているようなので、私もちょっと乗ってみることにする。

抗議活動の要旨をまとめると「公共性を持った放送局の、ある特定分野(今回は韓流)の偏向報道がすぎる」だと思われる。
放送局は電波法に守られた公共性の高い組織だ。「民放」などと言っているが、成り立ちから見ても経営体質から見ても、民間でもなんでもない。だからこそ、特定の思想や偏った一方通行の放送を行うことは許されないし、「嫌なら観なければいい」という論理も通用しない。

そしてそのすべてを加味した上でも、今回のデモはかなり末期かなと思う。
根底にあるのが「韓国が嫌い」ではなく、「このままではマズイ」とか「日本文化が負けてしまう」ではないかという気がするからだ。

あまり詳しくないし、芸能の専門家でもないが、私は特にKARAや少女時代が歌やダンスがうまいとは思わない。
しかし国内である一定程度以上の売上(=結果)を残しているのは事実で、韓国の俳優が次々に来日して話題づくりしていることもしかり。これがテレビやマスコミや広告代理店が意図的に作り上げたいブームだとしても、流行ってしまったらそれは関係ない。

例えばこれがリ押しだったとしても、日本人としてはやはり文化で対抗するのが本筋じゃないのかなと思う。「韓国がKARAなら、日本には○○がいる」と。実際10年前なら「何か韓国で流行ってるけど、これだったら日本の○○の方が上だろ」と、軽くいなしていたのではないだろうか。
そういう発想には至らず、放送するな、ゴリ押しするな、日本文化を守ろうと保護主義に走ってしまうのは、かなりマズイ状況なのではないかなと思う。

また、彼らのうちの多くは驚くべき速さで日本語をマスターし、英語が堪能な人も多い(日本語がカタコトなのはアグネス・チャン戦法(=わざと)かもしれないが)。
日本の芸能人もそうすれば、それこそSMAPの草なぎさんみたいに韓国語をマスターして殴りこみをかければいいんじゃないか。そういうと、多くの人が「そこまではしたくない・する必要がない」というだろう。その時点で、韓国を下に見ているという驕りではないだろうか。

韓国は日本より下。文化も下だから入って来るな。

これは残念なことだと思うのだが、日本にも多くの才能にあふれた人々がいるにもかかわらず、人気と地位を勝ち取るのはAKBやジャニーズといった、正直実力があるとはとても言えない若年層アイドルだ。
我々は「日本にはAKBがいるじゃないか」と胸を張って言えるだろうか。今回のデモは、日本人自身が日本文化に自信が持てなくなったことの裏返しでは、という気がしている。

私は、日本人が国内の殻に閉じこもっているようでは、文化も経済も衰退していくと思っている。だから、基本的には移民政策にも賛成の立場だ。
実際にSamsungやHyundaiといった企業はもう世界のトップだ。逆に日本企業はジリジリと後退し始めている。

発展するには競争するしかない。
視野を国内にしか向けていないようでは、あっという間に取り残される時代ではないだろうか。