イチローが「安打数」にこだわる理由

イチローが、遂にメジャーで9年連続の200本安打を達成した。
日本人で、イチロー以外に200本打っているのはヤクルトの青木だけ。彼も、WBCの主力として活躍するほどの選手だ。しかし、その青木でさえ一度しか達成できていない。

4,256というメジャー最多安打記録を持つピート・ローズ、「球聖」といわれたタイ・カッブでさえ、連続で200本を打ったのは3シーズンが限界だった。

イチローが続けていることが、どれだけ並外れているかが分かる。

そして、記録を気にしないことで有名なイチローが、唯一こだわっているのがこの「安打数」だ。
それまで、首位打者こそがバッターの最高の勲章のひとつという考えが当たり前だったのに、どうして「打率」ではなく「安打数」にこだわるのか。

以前どこかで目にしたのだが、それは「打席に立つことが怖くなるのは嫌だから」だそうだ。
※ただ、本音では打率も首位を獲りたいといつも口にしている。

打率を目標にすると、例えばその時点で首位打者だったら、率を下げたくないからと消極的になる。四球も選びやすくなるだろう。
そうすると、バッターボックスに立つのが怖くなる。多少でも「嫌」という感情を持つようになる。

しかし、安打数であれば違う。
打席が多ければ多いほどチャンスも巡ってくる。ヒットを打ちたい、打席に立ちたいと常に思うようになる。

だからこそ、彼は安打数にこだわるのだそうだ。大好きな野球を、嫌になったり怖くなったりしたくないから。
四球を選ばない、進塁率が低いなどと言われるのは、イチローのこんな「超アグレッシブ」な考え方にも理由もあるのだろう。

これこそ、究極のポジティブ思考というか、いい意味での自己暗示という感じがする。
まぁ、例え暗示をかけたとしてもそれを続けられるかどうかはまた別問題だけど。

有名な話だと思っていたのですが、先日、知人に話したら誰も知らなかったので記事にしてみました。

[映画]人生に乾杯! ガーボル・ロホニ監督

評点:55点(100点満点中)

DVDにもなりにくいだろうハンガリー映画ということで、映画館で観てきた作品。大分前になるけどレビューを。

年金暮らしで細々と暮らす老夫婦。若いころ、劇的な出会いをした二人だったが、その愛情はとっくに冷めていた。
ある日、ケンカの末に家を飛び出す夫。アパートの家賃も払えなくなった彼は、何と銀行強盗をしてしまったのだった。

そのことを知った妻は夫を説得に向かうが、何と二人して強盗をすることになってしまう。
二人を追う刑事との駆け引き。そして、意外なラストへ。

当然、ハリウッド映画のような緊迫感はなく、正直間延びしたシーンも多々ある。
しかし、二人の「老人」が醸し出す落ち着いた雰囲気と淡々とした描写は、非常に安心して観ることができる。
強盗という犯罪を犯しながらも、どこか憎めない二人。実際に、映画の中でも彼らは徐々に英雄視されていく。

多くを語らない。許されないはずの犯罪を犯している。
それでもなぜか許しあう二人の間には、長年連れ添ってきた絆の深さが横たわっていることを感じる。

ただ、特にラストなどはちょっと突っ込みどころが多すぎて、大雑把かな、という印象。
細部まで作りこむ必要はないにしろ、もう少しつじつまを合わせてくれると、観ているほうは気持ちよかったと思う。

この作品を「ハートウォーミング」という人がいるが、私は「ブラックジョーク満載」だと感じた。
観ている立場によっても違うのかもしれない。興味のある方はぜひご覧ください。

水着のバナーはクリック数が倍になる

これは、何年か前に某マーケティング担当の方から伺った。
その方はバナー広告に関してありとあらゆる角度から研究をしており、さまざまな興味深いデータを見せてくれた。

その中で「バナーに水着の女性が出るとクリック数が倍以上になる」というものがあり、実際にデータを見せてもらうとまったくもってその通りだった。

特に男性の増え方は目に見えて顕著なのだが、面白いのは女性のクリック数も増えるという点だった。
これは何でだろうねぇ~と話していたのだけど、夏が近くなると女性も体のラインや体重が気になるので、ダイエットやエステに関連した広告だと思って無意識にクリックするのでは、という結論に至った。本当のところは分からない。

あれから数年、目に見えて「水着のバナー」が増えてきたような気がする。
そしてそのほとんどが海やプールには関係がなく、あからさまなこじつけだ。しかも、クリックした先のページに水着の女性はいない。バナーとは程遠い内容のページが待っているのだ。
(たとえばこれとかこれ

「クリックさせたもの勝ち」という考え方なのかもしれないが、これは逆効果になる場合がある。
例えがちょっと違うかもしれないが、現在、テレビのサッカー中継のCMはハーフタイムに集中し、試合中はまったく流さないのが当然になっている。
しかし、以前はそうでなかったのをご存知だろうか。

ゲームが停滞している時間帯を見計らって、進行中でも定期的にCMを挟んでいた。
しかし、ご存知の通り流さなければいけないCMの数というのは決まっており、タイミングを見計らうあまり、どうしてもゲームが盛り上がっている最中にCMを入れなければいけないことがあった。

今正にシュートを打とうとしている刹那、画面がパッとCMに切り替わったら、観ている方はその企業に対してどういう思いを抱くだろうか。

直接の理由は、日本テレビのトヨタカップ中継でCM中に決勝点が決まってしまい、抗議の電話が殺到したということになっているが、スポンサーの間で「サッカーの試合中に自社のCMを流すのは逆効果」という認識が徐々に一般的になっていった。

結局何が言いたいかというと、水着の女性はまったくけしからんのでどんどんやってくれということではなく、先人たちの過ちを繰り返さないためにも、ただクリック数だけを稼いで代理店と媒体だけウハウハならいいや、という考え方はやめた方がいいんじゃない、ということです。

夏の終わり

夏の終わりは、なんだか物悲しい。こんなに厳しい季節も他にないというのに。

なぜそう思うのか、ちょっと考えた。

日が長くなり、外に出たくなるからか、夏は活動的になる。
あれもしたいこれもしたい。ここにもあそこにも行きたい。今年こそあれを始めたい。あわよくば、恋愛だってしてみたい。

やりたいことが山のように出てくる。
しかし、いざ終わろうとする頃、やれなかったことがポロポロ出てくる。
まだスイカも食べてないし、海にも行っていない。欲しかったTシャツも買えてないし、結局、今年の夏は何もなかったな…

日が暮れるのが早くなり、蝉の代わりに鈴虫が鳴き始めて、夏の終わりが近いことを感じる。

でも、いつもそうなのかもしれない。
やったこと、嬉しかったことは自分にとって事実だから、当然で、忘れがちで、やれなかったことばかりが大量にあって、それが理想化されてしまう。本当は、やれないことの方が多いのに。
慢心する必要はないけど、たまには後ろを振り返って、自分がしてきたことを確認するのも必要なのかもしれない。

もう、夏の終わりだ。
そう思うと、刺すような日差しも、むせるような暑さも、もう少し正面から向き合ってやろうという気がしてくる。

禁断の園? 執事カフェの実態

「メイドカフェ」は知っていたのだが、「執事カフェ」というものがあるというのを先日知った(有名だったらごめんなさい…)。
行ったことのある人に話を聞いたのだが、その内容がとても面白かったのでエントリにしてみる。

とはいえ、「執事カフェ」と言われて何のことだか全然分からない方(大多数だと思う)のための前提知識として、燕尾服を着た従業員が客を「お嬢様」と呼び、時間内とにかく奉仕してくれるところ、というイメージです。

    ・用がある際は机の上のベルを鳴らす。どんな状況でもすぐに飛んできてくれる。
    ・とにかく尽くし度が半端じゃない。呼んどいて「このカップを動かして」と言っても快く応対。
    ・食器は、その人に合ったイメージのものがさりげなく運ばれてくる。
    ・従業員(執事)の方は、若い人から50代くらいまで幅広い。年配の人は「爺や」と呼ばれる。
    「一人で席を立たないでください」と注意書きがある。トイレに行く際もエスコートがつく。
    ・90分制だが、料金は食事代のみ。その人は約3,000円程度だったとのこと。
    ・客層は女の人ばかりではなく、年配の男の人も多い。なぜなら、高級ホテル以上のサービスが(安価で)受けられるから。
    ・店を出る際の挨拶は選ぶことができる。「いってらっしゃいませ」から「馬車がお待ちです」まで(当然、待ってない)。
    ・「外国人専用執事カフェ」なるものもある。そこでは、呼ぶと必ず「Yes, My Princess?」と言いながらテーブルにきてくれる。
    ・ついでに、外国人執事カフェではオプションで「お姫様抱っこ(有料)」がある。

お店の予約は一ヶ月前からWebで可能だが、土日などは本当に「秒殺」で埋まってしまい、人気コンサートのチケットを取るより難しいらしい。

同種のビジネスですぐに思いつくのがホストクラブだが、その人いわく、みんながホストクラブのようなハイテンションが好きなわけではなく、昼間(カフェだから営業時間は日中のみ)にゆったりと楽しみたい人もいるという。
確かに、一晩でウン百万をつかったとか、従業員の年収が何千万だとかいう世界よりは、よっぽど健全かもしれない。女性も行きやすいのではないだろうか。

大変な人気だそうだから、メイドカフェのように「執事カフェ」が日本中に爆発的に広まる日が来るかも…?