禁断の園? 執事カフェの実態

「メイドカフェ」は知っていたのだが、「執事カフェ」というものがあるというのを先日知った(有名だったらごめんなさい…)。
行ったことのある人に話を聞いたのだが、その内容がとても面白かったのでエントリにしてみる。

とはいえ、「執事カフェ」と言われて何のことだか全然分からない方(大多数だと思う)のための前提知識として、燕尾服を着た従業員が客を「お嬢様」と呼び、時間内とにかく奉仕してくれるところ、というイメージです。

    ・用がある際は机の上のベルを鳴らす。どんな状況でもすぐに飛んできてくれる。
    ・とにかく尽くし度が半端じゃない。呼んどいて「このカップを動かして」と言っても快く応対。
    ・食器は、その人に合ったイメージのものがさりげなく運ばれてくる。
    ・従業員(執事)の方は、若い人から50代くらいまで幅広い。年配の人は「爺や」と呼ばれる。
    「一人で席を立たないでください」と注意書きがある。トイレに行く際もエスコートがつく。
    ・90分制だが、料金は食事代のみ。その人は約3,000円程度だったとのこと。
    ・客層は女の人ばかりではなく、年配の男の人も多い。なぜなら、高級ホテル以上のサービスが(安価で)受けられるから。
    ・店を出る際の挨拶は選ぶことができる。「いってらっしゃいませ」から「馬車がお待ちです」まで(当然、待ってない)。
    ・「外国人専用執事カフェ」なるものもある。そこでは、呼ぶと必ず「Yes, My Princess?」と言いながらテーブルにきてくれる。
    ・ついでに、外国人執事カフェではオプションで「お姫様抱っこ(有料)」がある。

お店の予約は一ヶ月前からWebで可能だが、土日などは本当に「秒殺」で埋まってしまい、人気コンサートのチケットを取るより難しいらしい。

同種のビジネスですぐに思いつくのがホストクラブだが、その人いわく、みんながホストクラブのようなハイテンションが好きなわけではなく、昼間(カフェだから営業時間は日中のみ)にゆったりと楽しみたい人もいるという。
確かに、一晩でウン百万をつかったとか、従業員の年収が何千万だとかいう世界よりは、よっぽど健全かもしれない。女性も行きやすいのではないだろうか。

大変な人気だそうだから、メイドカフェのように「執事カフェ」が日本中に爆発的に広まる日が来るかも…?

サイトの登録者数を200%増加させる方法

Webサイト制作者にとって有用な情報を見つけたので、メモ代わりにエントリに。

登録型サイトの場合、当然登録ボタンやリンクが必要になってくる。
その際はあまり深く考えずに「今すぐ登録!」などの文言にしてしまいがちだが、その文言を変えただけで、文字通り登録者が200%増えたそうだ。

リンク先の「highrise」というサイトでは、登録ボタンの文字列に、
“Free Trial”
“Sign-up for Free Trial”

などの文言を使っていたそうなのだが、これを
“See Plans and Pricing”

に変えただけで登録者が倍になったそうだ。

日本語にすると「今すぐ無料登録!」から「今だけの特別プライスを見る!」みたいな感じかな。
特にまじめな人ほど「中身のコンテンツこそすべて」という感じになりがちだが、やっぱり見てもらわないとどうしようもない。詐欺的な文言は別として「思わずクリックしたくなる」というのは大事な要素だと思う。

常識だと思っているところにこそ改変の余地がある、という意味で肝に銘じておきたい。

ネタ元:http://carsonified.com/blog/business/how-to-increase-sign-ups-by-200-percent/

セブンイレブンが「安売り」を極度に恐れる理由

タイトルの件を、先日セブンイレブンの関係者の方に聞いたのでPostしたい。
※ただし、個人的な意見の枠を出ません。

一般的に言われている通り、コンビニで値下げを行うと

     ・通常の時間帯での売り上げが落ち、利益率が低下する
     ・廃棄分の処理費用が加盟店の全負担

という問題がある。これに対して世論は

     ・利益ばかりを求める企業体制はいかがなものか
     ・食べ物を粗末にすることはもったいない

という反応だ。
そしてその世論に押されるように、先日公取が排除命令を出した

しかしセブンイレブン側は、それでも「安売り」を断固拒否する構えだ。そのためには「廃棄費用を15%負担する」とまで言った。これはすごいことだ。フランチャイズ店からしたら、単純にその分のお金が懐に入ってくるようになるのだから。

しかし、なぜ彼らはここまで安売りを恐れるのだろうか。

それは「アメリカのセブンイレブンが破綻した一因だったから」だそうだ。
同じ系列店同士で価格競争を行った結果、消耗戦に陥ったということだろう。

通常、100円で10個売れて2個余っていたもの
 →余った2個を値下げで売る
  →通常料金で買っていた人も値下げを待つ
   →通常料金が売れなくなり、値下げが加速する

というイタチごっこだ。

だからこそセブンイレブン本部は、加盟店に多少の無理を強いてでも、全体の価値を守るために懸命になっているのだ。まるで針の穴から土手が決壊するのをふさぐように。

よくよく考えてみれば、値引きが当たり前のスーパーというのは大型店が多く、それは周囲の小売店や他社系列のスーパーへの優位性を示すためだったりする。いわゆる「物量作戦」で古くからの八百屋さんや魚屋さんを蹴散らしたわけだ。

かつ、コンビニは「24時間営業」「すぐに何でも揃う」という付加サービスもセットになっていると言える。
「確かにスーパーに行けば安いけど面倒だからコンビニでいいや」というのは、イコール時間に対して対価を支払っていることになる。本来スーパーでしなければいけない買い物の時間に遊んでいたから、深夜にコンビニで弁当を買うわけだ。

消費者にとってはそりゃ安い方がいいのだけど、コンビニエンスストアという業態自体が、安売りではなく「便利さ」を売り物にしていることは忘れないほうがいいと思う。

食品の廃棄の問題はどうだろう。
経営の基本だが、例えばある商品を100個仕入れて完売させたら、一見大成功のように思える。
しかしその商品はもしかしたら200個売れていたのかもしれない。だとすると、それは仕入れを失敗したことになる。

究極の形は「売り上げとピッタリの量を仕入れる」ことだが、それは不可能だ。
だから経営者は「予測される売り上げよりちょびっとだけ多め」を予測して仕入れる。そのため、基本的に廃棄がなくなることはない。

そもそも食料廃棄問題はコンビニだけの話ではないし、少なくともセブンイレブンは廃棄した食料を肥料にし、そこからまた食品を作るというリサイクル事業を始めている。

確かに「食べられるものを廃棄する」ということに抵抗感はあるが、読売新聞の社説のようにそれをただ「もったいない」と切り捨てるのは、あまりにも経営を知らなすぎだ。

別にコンビニの回し者でも何でもないが、「本当はもっと安く買えるのに、本部が強権を発動している」「食べ物がもったいない」というような分かりやすい論調が前に出るとつい納得してしまいがちだが、反対側の意見も知っておくと考え方が広がると思うので書いてみた。

少なくとも、何でもかんでも「安くしろ」ではなくて、「高いのはちゃんと理由がある」っていうのを忘れない方がいいとは思う。

ネットにおける有料サービスの境界線

はてなが、はてなブックマークとうごめもはてなで有料サービスを導入した。
色々意見はあるようだけど、ちょうどいい機会なので、自分のためにもネットにおける有料サービスの種類をまとめてみた。

1:サービス利用料

サイト自体、もしくは特定の機能を利用するために課金するタイプ。
前者では、大きな力や確実な顧客を持っているところで有効。

例:ヤフーオークション、mixiプレミアムなど

2:通常機能の強化版

今あるものより明確に優れているもの。数字として分かりやすいことが多い。

例:Amazonのお急ぎ便、ストレージサービス系の容量増加など

3:付加機能

今ある機能に付け足す機能。現在あるものに比べて課金に値する(と運営側が判断している)もの。

例:はてなブックマークプラス、うごめもはてなプラスなど

4:デジタルアイテムの販売

アバター、ゲーム内アイテムなど。

こんなところかな。
今回はてなは「3」の方法で課金サービスを開始したわけだが、難しいのは、人によってはこれが「機能制限」と感じられることだろう(その意味では「2」もそうなのだけど、これはネット上の課金の常識として定着した気がする。2GBまでは無料、など)。
その境界線に明確なものなどないから、みんな試行錯誤しているんだと思う。

そもそもネットのサービスは、運営費以上の資金を稼ぐ、という視点で見ると広告だけで成り立つのは本当にごく一部。
他の産業を見ても、それができているのはテレビやラジオくらいで、しかも強大な力を持つ民法放送局だけだ。

そのほかは、利用そのものにお金がかかる。
例えば、新聞も雑誌も購入しなければならないし、多くの人が利用する電車もバスも「広告」だけでは成り立っていない。当たり前のことすぎて、疑問にも思わないけれど。

そうでなければLinkedInのように、質の高いユーザを持ち続けて、それを利用したい企業側に売り込む、という形しかない。

ルパード・マードック氏のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)も、一時は無料化の動きがあったものの、結局コンテンツの有料化に舵をきるようだ。

あの「メディア王」でさえ、ネットで収益をあげるのに最適な方法が何なのか、迷っているのだ。

これからはおそらく、色々なものが有料化されていくのだろう。
「ネットはタダ」が当たり前の時代は、そのうち終わる。皮肉にも、ネットが生活にとってなくてはならないものになればなるほど、それが加速するように思う。

カフェスタ終了に思う SNSの収益の難しさ

カフェスタが終わる。このニュースは私にとって、結構な衝撃であった。
ピンチだからアバター買って」と訴えたのは記憶に新しいが、そのときから今まで「カフェスタもか…」とある種の絶望感に包まれた。

カフェスタの開始は2002年7月。mixiとGREEが2004年なのだから、その早さが分かる。
アメリカのFriendster、Myspaceではなく韓国に影響を受けた、事実上日本初の本格的SNSサイトだったのだ(「SNS」という言葉すらまだ存在しなかったが)。

もちろん今のmixi程度の規模ではないものの、彼らは一時期は日本のコミュニティサイトのさきがけとしてその地位を独占し、収益も上げていた。「カフェスタの一人勝ち」と言われていた時代もあったのだ。
しかし、彼らのライバルはすぐに現れた。それが「ハンゲーム」だった。同じく韓国の流れを受けた同サイトは、持ち前の「ゲーム開発力」であっという間にカフェスタを追い抜いた。それまでカフェスタも自前の「カフェスタゲーム」というものを持っていたものの、ハンゲームに比べればあまりにも貧弱であった。

個人的に、カフェスタの敗因は「アバターそのもの」にもあったと思う。

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上がカフェスタで下がハンゲームのそれだが、カフェスタのアバターは語弊を恐れずに言うならば、どうも「韓国くさい」。日本人が好むような絵柄ではないと思うのだ(実際、韓国のアバターは今でもこんな感じだ)。
両者がメインターゲットとしている低年齢層の日本人にとって、どちらが「かわいい」と感じるかと言われれば一目瞭然だろう。
しかし悲しいかな、アバターのデフォルトはそう簡単に変えることができない。カフェスタは、このアバターのまま戦わざるを得なくなった。

ショックなのは、カフェスタの収益体系(内訳は別として)が「広告依存ではない」ということもある。現在主流であり、GREEがmixiを追い越す原動ともなった「小額課金」を古くから導入しているのだ。
しかし、それでもカフェスタは終了せざるを得なかった。事業を拡大しすぎたのか、本当の理由は知る由がないが、アバター課金自体に成功しているところがある以上、元祖がこういった結果になってしまったのは非常に残念だ。

そして、やはりコミュニティサービスで儲けるのは非常に難しいと感じざるを得ない。
「人を集めて広告収入」ができているのは本当にごく一握りだけで、あとの世界中のほとんどのサイトが収益化できていない。毎日同じ人が頻繁に訪れるというコミュニティサイトの性質上、広告のCTRが非常に低いというのもあるだろう。

では何で儲けていくのか。小額課金か。GREEはそれで成功した。しかし、それを最初からやったサイトですら失敗に終わるのだ。

個人的には、それでも小額課金しか生き延びる方法はないと思う。有料会員制が厳しい現状、やはり「払う人にはとことん払ってもらう」という方式しかないのではないか。
そしてそれに伴い、マッチング、検索連動型、行動連動型、友だちフィルター型… さまざまな広告が導入されていくだろう。

コミュニティサイトの生き残りは、今後ますます激しくなっていくのだろうと思う。