タイトルの通り、主にサブプライムローンを軸にして、どうして今の金融危機が起きたのかを非常に分かりやすく説明している動画を発見した。
The Crisis of Credit Visualized
これを日本語訳すれば、小学校高学年でも理解できると思う。
あまりによかったので、初めて「Donate」ボタンを押そうかと思った。
まぁ押してないんだけども。
The Crisis of Credit Visualized from Jonathan Jarvis on Vimeo.
一応、以下に内容を訳してみたけれど、イラストもかなり素敵で見るだけでも何となく分かるし、全編英語だがかなり平易であるので、抵抗のない人は是非見ていただきたい。
原文を意識して、それこそ小学生でも分かるように訳したつもりですが、かなり意訳も入っており、かつ聞き取り違いなどあるかもしれませんが、ご了承ください。
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「金融危機」を説明するために、この物語の登場人物を紹介しよう。
まずは投資家。そして、家を持っている普通の人たち。
それから「モーゲージ」という言葉も出てくるよ。これはあとで説明しよう。
投資家はたくさんのお金を持っていて、そのお金を利用しようと色んな組織が生まれるんだ。
銀行や投資銀行、保険会社なんかだね。それらが集まって、いわゆる「ウォールストリート」ってやつが作られる。
数年前、投資家たちは、たくさんある自分たちのお金をもっとふやすためにどうしたらいいか考えていたんだ。
今までなら、安全なアメリカの国債を買っていたのだけれど、9.11という事件があって経済を強くするために、アメリカのお金の番人「連邦準備局(FRS)」というところの偉い人、グリーンスパンさんが、国債の利率を1%にするって決めたんだ。
多くの投資家たちは「そんな低い利率じゃ結構だ」ってそっぽを向いてしまった。
でもこれって、銀行の人たちから見たら「たった1%の金利でお金が借りられる!」ってことだよね。だからみんなFRSに殺到したんだ。
銀行はどんどんリッチになった。おかげで、普通の人も銀行から簡単にお金を借りられるようになったんだ。
しかしそのせいで、みんなが「レバレッジ」という悪魔に狂ってしまうことになるんだよ。
「レバレッジ」を説明しよう。
例えば、10,000ドルで買ったものを11,000ドルで売ることができたら、1,000ドル儲けられるよね。これこそ、まともな商売ってやつだ。
でも「レバレッジ」を使うと、10,000ドルを銀行に持っていくだけで、99万ドルも借りることができるんだ。
そうすれば、同じ10,000ドルのものを今度は100個買うことができる。それを売れば110万ドルだね。
さっき借りた99万ドルを銀行に返しても、ほら、10万ドル儲けることができた。すごいだろ!そりゃみんなおかしくなっちゃうよね。
この「レバレッジ」という錬金術をつかいまくって、ウォールストリートの人たちは信じられないほどの大金持ちになっていった。
それを見ていた投資家たちは気分がよくない。だって自分たちが儲けられないんだもの。
そこで、ウォールストリートの人たちは考えた。
「モーゲージ」というものをつかって、投資家と家を買いたい人を結びつければいいんじゃないかって。
モーゲージというのは、家を買いたい人が、その家そのものを担保にしてお金を借りることなんだ。借りた分は、毎月少しずつ返していくよ。
その方法は、こうだ。
まず、家が欲しい家族がいる。彼らは頭金を持って、モーゲージの申し込みをするよ。
無事取引が成立すれば、家族は家を買うことができる。もちろん、毎月の返済はしなきゃならないけど、家の値段はどんどん上がっていくんだから、困ったら売ってしまえばいい、ってその頃はみんな考えていたんだ。
ウォールストリートの人たちは「モーゲージを商品にして投資家に買わせよう」と考えたんだ。国債より金利がいいしね。
実際、投資家たちはこれで大もうけした。あまりに儲けられるものだから、みんな「レバレッジ」をつかって、借金してまでたくさんのモーゲージ商品を買ったんだ。
こうして、買えば買うほど儲かる魔法の箱が出来上がり!ってわけだ。
さらに投資銀行は、この箱にもっとすごい魔法をかけてしまった。
ひとつの箱を「安全」「大丈夫」「あぶない」という3つに分けたんだ。そしてそれを「CDO」と名づけたよ。
CDOを理解するには、トレイが少しずつずれた状態で並んでいるところに、水が流れる姿を想像してくれると分かりやすい。
モーゲージから入ってきたお金(=水)は、まず「安全」に行く。それが満たされたら「大丈夫」に、最後に「あぶない」に行くんだ。
もしモーゲージの支払いが滞った場合は、まず最初に「あぶない」の箱にお金が入らないことになる。
だから投資銀行は「安全」は低い金利で他の銀行などに、「あぶない」は一番高い金利でヘッジファンドなどに売ることにしたんだ。
「あぶない」を買った人は、多くの金利をもらえる。でもその代わり、お金が入ってこない可能性もあるってわけ。
こうして、投資銀行はまたまたたっぷり儲けた。
家族は家を買え、投資家は儲かる、そして担当者は仕事がたくさんもらえる。こんなにハッピーなことある?
ウォールストリートの人はそう言ったよ。確かにここまではその通りだよね。
でも、いつかは終わりが来る。当然だよね。家が欲しい人が無限にいるわけじゃないんだから。
絶体絶命のピンチかと思われたんだけど、投資銀行たちは、そこでまた新しい方法を考え付いたのさ。
モーゲージを払えなくなった家族の家を買い取って、もっと使いやすいモーゲージを作った。
それは、頭金なし、収入証明書もなし、とにかく誰でもいいからお金を借りて家を建てられるというものだよ。すごいね!
そして彼らは、今までのモーゲージを「プライム」というのに対して、これらを「サブプライム(プライムより下)」ということにした。
そして、これが正にターニングポイントだったというわけさ…
サブプライムも最初はうまくいっていた。プライムと同じようにね。
でも、やっぱり払えなくなる人が出てくる。そういう人たちは、実は家を買えるような収入がなかったんだ。ムリヤリ売りつけていたんだね。
払えなくなる人たちが増えてくるにつれ、当然たくさんの家が手放され、余るようになった。
今まで順調に上がっていた家の値段も遂にストップし、それどころかどんどん下がり始めたんだ。
もちろん、モーゲージをまじめに払っていた家族たちの家も値段が下がっていったよ。
彼らは「もうこの家は9万ドルの価値しかない。なのに、なぜ30万ドルものモーゲージを払わなきゃならないんだ?」ってバカバカしくなってしまった。だからみんな放棄してしまったんだ。
困ったのは投資銀行さ。誰もお金を払わなくなって、ただ安い家だけが残った。こんなの持ってたって、買う人がいなけりゃ役に立たないものね。
彼らはとんでもない爆弾を抱え込むことになってしまったんだよ。
投資銀行は、それでもまだモーゲージを売ろうとした。でも、もうみんな知っていたんだ。それはとんでもないシロモノだってね。
モーゲージを買うためにレバレッジをたくさんかけていた、要するに借金をしていた投資銀行や銀行は、もうお金を返すこともできなくなった。
誰もお金を貸さなくなり、借りなくなり、価値のない安い家だけがたくさん残った。今までモーゲージの仕事をしていた人たちも、どんどん職を失っていったよ。
今まで積み上げてきた金融システムは、遂に麻痺してしまったんだ。
そして…
遂に爆弾が爆発してしまった。
ウォールストリートの投資銀行や銀行はどんどん破綻してしまったんだ。
それが今の状態。「ようこそ、金融危機へ」ってわけさ。