止まらない上昇 「金」の価格はどこまで上がるのか

世界経済の停滞が叫ばれて久しい中、その価値を右肩上がりで高めている金融資産が「金」である。

以下はここ10年間の金の価格をグラフにしたもの。

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※2012年は投稿編集時の価格

昔から「有事の金」という言葉があり、経済や政情が不安定になると、株式や為替に向かっていた投資マネーが手堅い「金」に向かい、値段が上がると言われている。
しかしこの傾向がここ10年も続いているとなると、いよいよこの金バブルがいつ弾けるのかが、今後の注目点のひとつになると思う。

現在の金の価格は、過去最高に近い。しかし、最高ではない。
グラフの目盛りを70年代前半からに変更してみると、

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見ての通り、1980年頃がピークだ。
これは、金の取引自由化が70年代前半から始まったことと、73年のオイルショック以来のインフレを懸念した金買いが原因と言われている。

しかし、そこを境に金の価格は急下降。
これは、80年代中頃から始まった空前の好景気、いわゆる「バブル」の影響で、投資マネーがこぞって株式や債券に向かったからだと考えられる。

それ以降は言わずもがな。
あっけなく弾けたバブルとともに、金の価格はまた上昇した。

歴史が繰り返すならば、金の値段が下がれば景気回復の印とも考えられる。
経済界にとっては、この「金マネー」をいかに奪えるかが今後の鍵となりそうだ。

果たして、2013年の金価格はどうなるだろうか。

ちなみに、2012年の漢字も「金」でした。
おあとがよろしいようで……

寄付をやめて、株を買おう

東北地方太平洋沖地震の影響で、先週の日経平均は大混乱の様相を呈した。
15日の下落率はリーマン・ショック時に次ぐ過去3番目、一時はブラック・マンデー時にも迫ろうかという暴落ぶりだった。

しかしあくまで個人的な意見だが、私も世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏に同じく、これは完全に市場の動揺だと考えている。

日本の市場に多くの投資をしているのは外国人投資家だ。その割合は、20%から多いときには50%を超えることもある。

今回の暴落は、その外国人投資家の日本経済への悲観論と、原発の問題が予想以上に長引くのではないかという憶測(言い換えれば、政府主導による情報公開の失敗により、要らぬ心配を与えてしまったこと)が大いに関係していると思われる。
それによって引き起こされた国内投資家のパニック売りで、売りが売りを呼ぶ展開になってしまった。

賢明な外国人投資家はすぐに戻ってくるかもしれない。しかしそうでなければ、しばらく日本市場はキャッシュが不足し、経済が停滞する負のスパイラルに陥る可能性がある。

だから今こそ、経済の面で日本人が日本を支えなくてはいけない。真の復興は、再び正常な経済生活を送れるその日にあるのだから。

もちろん、寄付も大事だ。被災者の方々にとって今最も必要なことは、ダイレクトに援助が届く寄付金だろう。
しかし長いスパンで見れば、家や職を失った人が再び働ける場所があること、モノを作り、それを売って、生活の糧とする日常が戻ることが何よりも重要だ。

今回の被災で大打撃をくらったのは個人だけではない。企業も大きな痛手を蒙った。このまま市場にキャッシュが不足すれば、多くの企業が連鎖的にバタバタと倒れてしまう。

言葉は悪いかもしれないが、どうせあげてしまうなら、なくなってもいい気持ちで信頼できる企業に投資してはどうだろう。
そうして企業が持ち直して利益が出れば、そのお金をまた投資に回すのもよし、寄付するのもよしだ。我々の戦いは、思っているより先が長い。

当初は同情的だった海外の報道も、今は日本経済への悲観論に変わりつつある。

たしかに、我々は大事な多くのものを失ってしまった。悲しみに沈み、もう一歩も前に進めない人もいるだろう。
しかし、皆がそうではないはずだ。辛く苦しい日々を送る人たちのためにも、このまま終わる国じゃないことを証明しなければ。復興へと歩を進め、底力を見せる時だ。

だから今こそ、日本株を買おうではないか。

B・N・Fがいかにとてつもない化け物かを再検証する

「貯蓄から投資へ」と言われて久しく、私自身も投資は行っているのだが、中にはまるで博打のようにFXや株に安易に入ってくる人がいる。

そういった人たちが揃って口にするのが「B・N・F(ジェイコム男)」である。

160万円の元手を、わずか8年で200億円以上にしたという個人投資家で、未だに「証券会社の広告塔で実在しない」という説もあるほどのアイコン的な存在だ。

もしかしたら自分でも…… ちょっと近づくくらいは……

その気持ちは分からないでもない。私だって人の事は言えない。
実際にやってしまった人がいる以上、不可能とは言い切れないが、これがいかに現実離れした数字かを再検証したい。

■160万→200億がどれだけすごいか

「元本を一定期間複利運用したとき、将来いくらになるかを計算する」のに「終価係数」というものを使う。
現在の日本では、どんなによくても金利1%が限界だろう。それを元にすると……

8年後:1,732,571円
プラス:132,571円

である。
安全で利回りの高いと言われる、米国債の10年物でもよくて5%。これだと、

8年後:2,240,000円
プラス:640,000円
※米国債は単利運用とする
※税金は考慮しない

実際、160万円の元手で8年後に64万円増えたのであれば、これはもう最高だろう。
B・N・Fはこの3万倍の結果を残している。通常の3万倍だ。シャアでも3倍、界王拳でも20倍(だっけ?)なのに。

これが自分にできるか、冷静に考えたほうがよい。

■超人的な記憶力

彼は以前「600~700銘柄の値動きは頭に入っている」と発言したことがある。
重点的に監視しているのがその1/10程度だとしても、彼が重要視するという乖離率(25日線や5日線の離れ具合)もすべて克明に頭に刻まれているはずだ。

彼はPERなどは一切見ないと言われているが、ボリンジャーバンドや一目均衡表などの一般的な指標はおそらく考慮しているだろう。

当然、株価は毎日変わる。このすべてを記憶できる能力が、彼には備わっているということだ。

■強靭な精神力と集中力

特にデイトレやスイングトレードでは、リスクを冒して私財を投じ、損をすれば見切りをつけ、多少の含み益が出ても決済せずにじっと持ち堪える、ということができなければならない。
投資経験がある人には分かるだろうが、これには強靭な精神力が必要だ。彼のように額が大きくなればなおのことだろう。

「人間は得をする喜びより、損をする悲しみの方が強い」ため、ほとんどの個人投資家が、持株が下がれば「上がるまで待とう」と考え、少しでも上がれば「下がる前にすぐに売ってしまおう」となる。

その本能に打ち勝ち、絶妙のタイミングを判断しキーボードを叩く。
これは彼に限らないが、集中力を極限まで使うため、一日のトレードが終わった頃には椅子から立ち上がれなくなるほど疲労するという。

■深い経済知識

B・N・Fは、下手な経済学者よりもよほど深い洞察力を持っていると考えられる。
それを示すのがこれ

これを読めば、「ジェイコム株で運良く儲けた」というイメージが全くの誤りであることも分かるだろう。

同じように、個人で90億円を稼いだ「cis」という投資家がいる。
それもそれでとてつもないのだが、その彼をしても「B・N・Fは神。とてもマネできない」と言う(cisのマネもできないが)。

200億円と言ったら、年俸4億の阪神・金本選手が50年かけて得られる収入であり、イチローでも10年かけてようやく届く額だ。
株なら…… と安易に思うかもしれないが、金額だけで言うなら、それこそプロ野球選手の何十倍もの努力を重ねねばダメだということだ。

とはいえ、投資自体を否定するものではない。

ギャンブルのようなイメージは捨て、運がよければB・N・Fのようになれるのではないかという妄想も捨て、きちんと勉強した上で参加すべきだということだ。
そうしないと、汗水流して稼いだお金をドブに捨てかねない。

「サヤ取り(裁定取引)」について

「貯蓄から投資へ」というスローガンが誰にでもあてはまるとは思わないし、むしろほとんどの人は投資に一生手を出さないだろう。
ただ個人的には、日本の金融機関がこれから100年安泰だとも思えないし、少なくとも年金制度は遅かれ早かれ実質崩壊する可能性が高いと危惧している。
それに、自分で汗水流して稼いだお金なのだから、政府や役人に依存するのではなく「自分のお金くらい自分で守る、ふやす」という意識をもつことが大事だと思う。

ということで僕は投資を行うのだが、自分がこれまでに身につけてきた知識などを、折を見て(備忘録代わりにも)記していきたいと思う。
何かのきっかけで見てくれた方のお役にたてれば幸いです。

今日のテーマは「サヤ取り(裁定取引)」。
機関投資家は広く行っている手法なのだが、一般にはまだまだなじみが薄い。数ある投資手法の中でも「比較的安全」といわれるこの手法を、簡単にご紹介したい。

まず、下の図をご覧いただきたい。
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赤の線が東証一部、青の線は大証一部に上場している、トヨタ自動車の3か月の株価の動きである。
当然、二つの線は同じような動きをしている。

しかしある一点に注目すると、その連動がわずかに乱れるタイミングがある。
たとえば、11月下旬と思われるこの部分。
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ここでは、赤と青の線がおおきく離れている。
この離れている状態のことを「サヤが開いている」という。サヤ取りとは、このサヤが開いた状態を見極めて投資を行うことを指す。

分かりやすいように、このとき赤が10,000円、青が5,000円だったとする(もちろん、同じ銘柄でそんなに株価が離れることはありえない)。
このときを「サヤが開いていてチャンスだ」と判断したら、
「赤を売り」「青を買い」
注文する。

そしてこの後、二つの線は再び近づいて(収斂して)いる。この時を「サヤが閉じた」と判断したら、
「赤を買い戻し」「青を売る」
で決済する。

このときの株価を見てみると、二つとも下降しているものの、
赤:7,500円 青:4,500円
くらいになっているとする(あくまで大体)。

二つの取引結果を見ると、
赤:10,000円売り → 7,500円買い = +2,500円
青:5,000円買い → 4,500円売り = -500円

である。確かに青の取引は損を出しているが、合計すると2,000円のプラスとなる。これが「サヤ取り」と呼ばれる手法の基本である。

基本的に
・連動性、収斂性のある銘柄の反対取引を行う
・決済はかならず同時に行う

ということを守り、その他細かい複合技(買い増しなど)を行っていくのだ。

前述のとおり「比較的安全」として、株式のみならず、先物やFXなどの為替でも用いられる手法であるが、「安全」といわれるゆえんとして「株価の上下に左右されない」という特徴がある。

上記の例で赤が大幅に暴落したとしても、青も(連動性があることが前提であるため)当然下がることが予想される。
たとえば赤が10,000円から3,000円になったとしても、青が5,000円から2,000円になっていれば、差額が1,000円分あるため、損はしていない。
差(サヤ)さえあれば、損は出さないというわけだ。

通常の株式の取引は、ある特定の銘柄を買って「上がった下がった」で判断するが、これはリスクをヘッジしている取引というわけだ。

ただ、もちろん損をすることもあるし、あくまで「比較的安全」といわれるだけで、ぜんぜん安全ではない。
収斂すると思っていた株価が思うようにいかなかったり、最悪逆の方向に動けば、損失は倍になるため非常に危険だ。

Googleで「サヤ取り」「サヤ取りとは」などで検索すると、かなり怪しいものも上位に来たりする(今日現在)。
「ラクに稼げる!」とか、「副収入で年収1,000万円!!」などの広告をGoogleAdsenseでよく見るが、実態はこの「サヤ取り」の方法を説明しているだけのものもあるようだ。

サヤ取りを行うためには、関連性のある銘柄を見つけることが必要(特にプロは、例に出したような「同銘柄異市場」はやらないともいう)だし、収斂するタイミングを見極めるため、最低一日に一度は市場を見なくてはならない。そしてそのタイミングはたいてい中々訪れないので「待つ」ことが非常に大事で、根気がいる。
それが苦にならない人はやればいいと思うし、それでも基本的に「預金するよりはまし」程度の収益でよし、くらいの気持ちでやるべきだと思う。
やはり収益を上げようと思ったら、投資といえど、それなりの努力や経験が必要なのである。

とりあえず「こんなものもあるんだなぁ」くらいに頭の片隅に置いていただき、決して悪徳業者に騙されないようにしてください。

※この記事を見て行った取引のいかなる事態に関しても責任は負いかねます。投資は自己責任でお願いします。